佐藤栄作衆議院議員の在職時の本会議での質疑や答弁などの発言についてまとめています。発言回数、発言文字数、発言時の役職、立場、各発言の冒頭部分の内容の一覧が掲載されています。
委員会や各種会議での発言等については委員会統計/発言一覧のページを参照してください。
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※「発言」は発言が記録された本会議の数、「文字数」は発言として記録された文字の総数を示しています。
※「議会役職」は議長、副議長など国会の役職、「政府役職」は大臣などの内閣、政府関係の役職が記録に付されていた場合を集計し、「非役職」は議会役職、政府役職いずれでもない場合を集計しています。
※国会会期は各選挙期中で最初にその役職での発言が記録された会期を示しています。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。現在の経済についての見方が、相当北山君と私とでは相違いたしておりますので、現状につきましてのいろいろ仮定的な条件のもとにおいてお尋ねになりました事柄につきましては、部分的に賛成できるものもありますが、同時に、私の見解をこの機会に明確にいたしまして、御了解を得たいと思います。 御承知のように、昨年来、緊急対策をとりました結果、わが国の経済はまず小康を得て参ったと、私どもは感じておるのであります。国際収支も黒字に転向して参りました。また、物価も一応横ばいの姿を示しております。これらの点は、確かに経済自体が一応小康を得ているという証左だと思うのであります……
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 宣伝費についてのお話がまず第一点であったと思いますが、海外に対します、わが商品の宣伝その他につきましては、これは万全を期さなければならないと思います。宣伝費の予算額が少い、こういうお話もあろうと思いますが、十分実績を見まして、次の予算編成の際に考えて参りたいと思います。 第二の、夏秋蚕についてのお話でございましたが、夏秋蚕につきましては、ただいま農林大臣から申しますように、生産制限につきまして、私どもも期待をかけておる次第でございます。 第三の、今回特別立法をいたしましたことにつきまして、今日当面しております糸価の低迷の状況は、申すまでもなく……
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。いろいろ御意見にわたる点も多かったのですが、私に対する御質問は、中小零細企業のために勤労所得控除の制度を設けたらどうか、あるいは金融機関を特に設けてはどうか、こういう具体的なお尋ねがあったように伺います。 中小零細企業者のために勤労所得控除の制度を設けるという要望につきましては、中小企業の所得が勤労に基く部分が多いから、そこで給与所得について認められているような給与所得控除をしろ、こういう御意見かと思うのでございますが、給与所得控除の問題は、給与所得に伴う必要経費の概算控除であるとか、あるいはまた、給与所得の担税力についての考慮をするとか、あるいは……
○国務大臣(佐藤榮作君) 購買会並びに消費生活協同組合が利用券を発行しておる、利用券がなければ物品販売事業を利用することができない、これは明らかに日銀法の第二十九条第二項に抵触するものではないかというお尋ねでございますが、ただいま前段でお話をいたしましたように、利用券は、どこまでも物品販売事業の利用について規定しておるものでございまして、日銀券のように、公私にわたる決済手段としてのいわゆる通用力を規定しておるものとは、およそ違うのであります。この意味において、私はこれを一緒にすることは適当でないと考えます。 次に、中小企業並びに零細事業者を含めて、これが保護育成についていかなる処置をとってい……
○国務大臣(佐藤榮作君) ここに、昭和三十三年度補正予算を提出するに当り、わが国当面の経済情勢と、これに対処すべき財政金融施策の大要を申し述べるとともに、補正予算の概要を御説明いたします。 私は、先般、国際通貨基金及び国際復興開発銀行の総会に出席いたしました。その際、わが国経済に対する国際的な評価がきわめて高いことを強く感じて参った次第であります。すなわち、国民各位の御努力により、国際収支は昨年十月以来引き続き黒字基調を続け、本年度上半期における外国為替収支の受取超過は実に二億五千万ドルに及んでおります。このような情勢におきまして、昨年夏外貨減少に備えて国際通貨基金から借り入れました一億二千……
○国務大臣(佐藤榮作君) ここに、昭和三十四年度予算を提出するに当りまして、わが国の当面する内外の経済情勢とこれに対処すべき政府の財政金融政策の基本方針を明らかにし、予算の概要を説明いたしたいと存じます。 顧みれば、昭和三十三年のわが国経済は、世界経済の停滞を反映して、おおむね伸び悩みの状態を続けて参りました。しかしながら、最近における世界の経済及び貿易の情勢は、アメリカの景気回復を契機として好転の気配がうかがわれ、わが国経済を取り巻く環境は、ようやく明るさを加えて参っております。これとともに、国内経済の動向も、一部になお若干の問題を残してはおりますものの、漸次停滞から着実な上昇に転じつつあ……
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 三十四年度予算編成に当つて、三十五年度の財源についてどういう考慮をしたかという第一点でございますが、三十四年度の予算を編成するに際しましては、義務的支出も増加することでございますので、三十五年度予算、三十五年度の財源をいかに考えるか、もちろん考慮を払つたところでございます。ただいま、まだ年度が始まつておりませんので、正確な数字を申し上げるわけには参りませんが、財政演説でも説明いたしましたように、経済の成長に伴いまして、租税収入並びに税外収入は相当増加が予定されるのでございまして、三十五年度の予算編成に当りまして特に窮屈な思いをすることはないものだ……
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず第一は国民年金制度についてのお尋ねであったと思いますが、国民年金制度は、もうすでに政府提案の概要は発表いたしておりますので、御承知の通りだと思いますが、政府案による援護年金につきましてこれは納税者負担でまかなうのでございますから、その関係から、当然適正な所得制限率を行うことといたしておるのであります。この点、いかにも羊頭狗肉だ、ああいう制限を加えているから――こういうふうな御非難であったと思いますが、これは当然のことでございます。今回の所得制限につきましては、社会保障制度審議会の答申を受け入れまして、支給人員におきましても、この審議会の答申の……
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず、経済の変動あるいはインフレーションということを考えたり、あるいはまた、生活が非常に向上して所得がふえたというような場合に、こういう長期にわたる年金というものにどういう影響を持つかという点のお尋ねであったと思います。御承知のように、政府といたしましては、経済の健全な成長を意図いたしておりますが、同時に、絶えず通貨価値の安定ということに力を注いで参っておるのでございます。この種の問題は、年金制の実施に当りまして最も留意いたさなければならない点でございますので、通貨価値の安定に重点を置き、経済の健全な成長を期していく、そうして、同時に、調整の面に……
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 農林予算について総額がよほど減っておる。なるほど、形の上でごらんになりますと、二十八年度に対しまして相当減少いたしております。これは、いわゆる臨時的な支出とでも申しますか、最近は災害も減っておりますし、従って、災害対策費の事業費もよほど減っております。あるいは輸入食糧の予算も減らしております。あるいは、農林漁業金融公庫を作りましたそのときと今日とは違っております。従いまして、総額だけをごらんになりますと、ただいまのような御批評も当るかと思いますが、臨時的経費が大幅に減少しております今日、実質的には、たとえば食糧増産費であるとか、あるいは造林、漁港……
○国務大臣(佐藤榮作君) 新潟の地盤沈下対策につきましての基本的な考え方はどうかということでございますが、もちろん、不安を除くこと、同時に、また、経済の発展を期する、こういう点に重点を置いて考えて参りたいと思います。 そこで、この沈下対策の事業費といたしましては、すでに相当多額のものを必要といたしております。ただいま御指摘になりましたように、この事業費が大きくなればなるだけに、負担能力の点、――地元の負担能力、あるいはまた、原因者負担等の問題につきましても十分検討する要あり、かように考えておりますので、これらの点も引き続いて検討して参るつもりであります。 さらに、また、この事業に対して高率……
○国務大臣(佐藤榮作君) 昭和三十四年度補正予算を国会に提出し、御審議をわずらわすこととなりましたので、ここに、その大綱を説明し、あわせて財政金融政策について所信の一端を申し述べたいと存じます。(拍手) 去る九月の伊勢湾台風、その他今年度の累次にわたる風水害は、広範、かつ、大規模なものであり、死者、行方不明者合わせて五千六百人をこえる犠牲者を生じ、各地に甚大なる損害の発生を見るに至りました。私は、ここに、衷心より被災者各位に対し深甚なる哀悼と同情の意を表するとともに、被災者各位が一日も早く復興に立ち上がられるよう、心からお祈りいたすものであります。(拍手) 政府といたしましては、すでに関係……
○国務大臣(佐藤榮作君) 関税についての暫定的措置の軽減、減免方法を存置するやいなや、目下検討中でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 賠償額につきましては、ただいま外務大臣が御説明いたしました通り、これは三千九百万ドルが賠償額でございます、その金額が決定を見ました経過は、申すまでもなく、わが国の支払い負担能力、さらにまた、他の賠償求償国との振り合い等を十分考えまして、また、ベトナムが必要と考える事業計画、これを取り入れて、話し合いの上、最終的に決定いたしたものであります。ベトナムの要求しております金額は、先ほど申し上げたように、非常に多額なものでございます。 また、貿易の点につきましては、詳細に外務大臣からただいまお答えをいたされましたが、この賠償協定調印後も、貿易の面におき……
○国務大臣(佐藤榮作君) 防衛力整備計画、新戦闘機国産等に要する予算、財政負担の検討についてのお尋ねでございました。御承知のように、防衛力は、わが国におきましては、国力に相応する漸増計画というものを持っております。巷間、防衛力整備六カ年計画であるとか、あるいは第二次計画であるとかいう言葉を使われておりますが、おそらく、防衛を担当しております防衛庁内部において検討中のものであろうかと思います。ただいままでのところ、大蔵当局、また国防会議にも、その案はかかっておりません。従いまして、ただいま批判する筋のものではございません。 また、新戦闘機の国産に関しまして、価格を決定しておらないではないかとい……
○国務大臣(佐藤榮作君) ここに、昭和三十五年度予算を提出するにあたりまして、わが国の当面する内外の経済情勢と、これに対処すべき政府の財政金融政策の基本方針を明らかにするとともに、予算の大綱を説明いたしまして、国民各位の御協力を得たいと思います。 私は、まず、昨年初来、わが国経済がまことに力強い発展の過程をたどっておりますことを、国民各位とともに心から喜びたいと存じます。(拍手) 昭和三十四年のわが国経済は、各般にわたり目ざましい上昇を遂げて参りました。すなわち、鉱工業生産は年間二四%、輸出は二〇%に及ぶ記録的な伸びを示し、これに伴い、雇用情勢も一段と好転を見せ、国民生活も一そう豊かさを加……
○国務大臣(佐藤榮作君) 予算編成の基礎になる経済の現況並びに今後の見通しについて誤りはないかというのが第一点であったと思います。いろいろ御注意をいただきましたことは、私どもも大いに参考にしたいと思いますが、昨年来の経済の動向等を考え、また、年初以来の動向等を考えてみますと、御心配になるような点は一切ございません。(拍手)私は、本年の経済もまた繁栄への道である、かように確信いたしております。 その次に、今回の予算の内容につきまして、これは土建屋の予算ではないか、あるいは軍需産業育成の予算ではないか、こういうことをお尋ねでございましたが、昨夜も詳しく予算につきまして内容を説明いたしました。今回……
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、為替・貿易の自由化と減税並びに所得倍増の三点についてお答えをいたします。 当面いたしておりますわが国経済の現状並びに今後の見通し等につきましては、完全に政府の見るところと同じ見解でございます。この立場におきまして最も重要な問題は、国際的潮流である為替・貿易の自由化をいかに推進していくかということ、そうして、しかも、わが国国内の経済に悪影響を与えないで着実に安定・成長さしていくことができるかという問題に尽きるのであります。この点に関しましては、貿易、為替の自由化の計画を樹立いたしまして、その計画の線に沿って実施していく。言いかえますならば、この計画の実施に差しつ……
○国務大臣(佐藤榮作君) 耕地を転用した場合に、高い地価で売られるその所得に対して特別な課税をする、いわゆる農地転用税という名前のもとの課税を考えておるかというお話でございましたが、政府部内では、まださような具体的な考え方は持っておりません。また、自民党の中におきましても、結論を得たようには伺っておりません。ただいま総理からお答えいたしましたように、これから調査会を作るのでございます。従いまして、その処置についての問題は、まだきまっておらない。もちろん、ただいまのような税の問題でございますれば、慎重に、また十分審議して検討さるべきことは当然でございます。(拍手)
○国務大臣(佐藤榮作君) 最初の国庫補助並びに特別立法等につきましては、ただいま建設大臣がお答えいたしましたように、至急調査を終えまして、しかる後に適当な措置を講じたい、かように考えております。 また、気象庁の予算の問題につきましては、昨年の伊勢湾台風以来、いろいろ気象庁の活動上の必要な経費等を予算に計上することを強く要望されて参っておりますが、なかなか十分なことができておりません。しこうして、今回のように、津波の災害を受けて参りまして、さらにこの経験等から見まして、次の予算編成の際におきましては十分考慮して参る考えでございます。 また、災害基本法の問題につきましては、先ほど総理からお答え……
○国務大臣(佐藤榮作君) 今回の災害は、御指摘のごとく、沿岸漁業その他中小企業の被害がまことに甚大でございます。従いまして、政府はこれらの対策に重点を置いて特別措置を講じ、ただいま各種立法を御審議願っておる次第であります。しこうして、これらの災害対策費の所要額を、まだ、もちろん、ただいま確定いたしておるわけではございませんで、今後の調査に待つものもございますが、本年度の予備費の支出によりまして十分まかなえる、かように私どもは考えておる次第であります。(拍手)
○国務大臣(佐藤榮作君) 災害の場合に地盤沈下が一そう災害を大きくしておる。その意味において工業用水、地下水のくみ上げ等について制限を加えるとか、あるいはクーリング・タワーを作って冷房用の水の確保を考えたらどうか、こういうようなお話でございました。いずれもその通りだと思います。御承知のように工業用水法ができておりまして、ただいま新規に工業用水の地下水くみ上げ、これは禁止されておるのであります。なお、いわゆる地下水によらないで工業用水道による、そういう計画を各地に進めておること、これまた御承知の通りであります。 また、ダムの建設あるいは管理操作等が、災害との関係においてしばしば批判をいただいて……
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま提案になりました昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法案の修正の件につきまして、修正理由及びその概要を御説明申し上げます。 本年六月の梅雨前線集中豪雨、七月及び八月の集中豪雨に引き続き九月の第二室戸台風は、中小企業者に対して甚大な被害を与えており、その急速な立ち直りをはかるためには、その事業の再建資金の融通の円滑化をはかることが急務と考えまして、先般、本特別措置法案を提案した次第でありますが、その後において判明したところによりますと、本年九月の第二室戸台風により中小企業者が受けた被害は、……
○国務大臣(佐藤榮作君) 株式による資金の調達は、本来企業の自己資本を充実するものでございまして、この意味では歓迎さるべきものだと思います。しかしながら、お話にありましたように、市中金融難、その肩がわりとしてのいわゆるかけ込み増資、こういうようなものにつきましては、これが過度にわたりますと、金融あるいは証券市場に無用の混乱を引き起こすおそれがあったり、あるいは調整の効果を減殺するおそれがございます。従いまして、今後の増資にあたりましては、いわゆる緊急調整策としてとっております設備投資調整の線に沿いまして増資が行なわれるように指導して参りたい、かように考えております。なお、時期的な調整の問題につ……
○国務大臣(佐藤榮作君) 所信を申し述べます。 わが国の石炭鉱業は、現在まことに容易ならざる局面に当面しております。石炭鉱業が、現在の不況を打開し、近代的な産業として成長していくためには、石炭経営者、労働者はもとより、関係者すべての努力、協力が必要であると考えられまするが、政府といたしましても、ただいま一致の議決を見ました決議の御趣旨を尊重いたしまして、早急に石炭鉱業に対する当面の緊急対策及び長期対策を樹立し、所要の法的、予算的措置を講じて参る所存であります。(拍手)
○国務大臣(佐藤榮作君) 日米繊維会議の付属書簡につきましていろいろ誤解があるやに伺いますので、そこで、去る二十一日に発表いたしまして、その誤解を解いたつもりでございます。本来から申しますならば、付属書簡というものは、大体公表した例はまずないのであります。もちろん、これを公表いたしますにつきましては、米政府と外務省の間で一応相談をいたしまして、この問題が、賦課金を課するというその点について日本政府が了承しているのだ、かように誤り伝えられておる、そのためにはこの付属書簡を公表することやむを得ないということで、所要の手続をとった上で公表いたしたのでございます。今回の日米繊維会議、その経過は、ただい……
○国務大臣(佐藤榮作君) 私に対するお尋ねは、工場立地調査は何年度で終了するか、またその予算は幾らか、こういうことであったかと思います。 三十三年以来、工場立地調査としてもうすでに二百十六カ所調査をいたしました。三十七年度も四十カ所調査するつもりで予算を要求して千六百万円が計上してございます。 ところで、この調査は最も新しい資料を必要とすることは申すまでもないところでありますし、また、一たん調査いたしましても、さらに再調査の必要がございます。そこで、ただいまのところは、すでに調査いたしましたものも一年置きに補正調査するということになっております。従いまして、この制度は何年度で完了するという……
○国務大臣(佐藤榮作君) 肥料二法の取り扱いの問題につきましては、基本的には、先ほど農林大臣からお答えになった通りの考え方で、意見は一致いたしております。問題は、肥料が数量的にも、また、価格の面におきましても、需要者である農民に、円滑に、しかも不便を与えないように、また、不都合を来たさないようにする、これが私どもの目標でございます。(「安く、安く」と呼ぶ者あり)これは、ただいま安くというお話がございますが、今日の肥料工業の実情は、肥料二法を作ったときと実情がすっかり変わっておりまして、先ほど申されるように、輸出が四割になっておる。この輸出は、国際価格の非常な変動と申しますか、低い国際価格である……
○国務大臣(佐藤榮作君) 米国の綿製品輸入賦課金構想は、わが国の繊維産業にとりましてまことに重大な問題であります。従いまして、政府といたしましても、今日までこれが阻止のため最大の努力を払って参ったのでございますが、ただいま満場一致の議決を見たこの決議の御趣旨を十分に尊重いたしまして、今後ともあらゆる機会をとらえて、なお一そうの努力を払って、所期の目的を達成するようにいたしたい、かように考えております。(拍手)
○国務大臣(佐藤榮作君) 石油業法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 石油は、国民経済上必要欠くべからざる基礎物資であり、今後ますますわが国のエネルギー源としての地位を高めていくものと考えられます。このように重要な意義を有する石油につきましては、総合エネルギー政策の見地に立って安定的にして低廉な供給をはかることが国民経済上最も強く要請されるところであります。 わが国石油供給の現状を見まするに、石油資源は国内に乏しく、原油の大部分はあげて輸入に依存しなければならないという事情にありますので、石油産業につきましては、国際的な協調関係を維持しつつその健全な発展をはかるべきことは申すま……
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろお尋ねがございましたので、順次お答えをいたしたいと思います。 第一は、特定有害物質に対する規制が不十分ではないかというお尋ねでございます。いわゆる特定有害物質と考えられますものは、有害ガスを初め、いろいろ種類が多いのでございます。これを一つの基準によりまして取り締まるということは、現状におきましてはまだなかなか困難でございます。しかし、公害といたしましても、当然これについて対策を立てなければならないのでございますので、いずれさらに検討を加えて、そして結論を得たい、かように考えております。 第二は、自動車排ガスを本法の規制の対象外とした理由、これをお尋ねでご……
○国務大臣(佐藤榮作君) 中小企業基本法制定につきましては、ただいま総理からお答えがございました通り、通産省におきましては、中小企業庁に中小企業基本政策審議室を設置いたし、また、中小企業振興審議会の中に総合部会を設けております。また、産業構造調査会に中小企業部会を設けて、今日までいろいろ検討を続けて参っておるのでございます。従いまして、ただいまお話のありましたごとく、中小企業振興、この基本対策については真剣に今日まで取り組んでおるのであります。ただ、関係法規等を全部整備することが、まだでき上がっておりません。そういう関係から政府は今回の提案を見合わせたような次第でございます。その点はまことに残……
○国務大臣(佐藤榮作君) 現在の日本の経済状態につきましていろいろの議論がある、一体通産大臣はどう考えるか、こういうのが第一のお尋ねであります。御承知のように、昨年度の経済成長が予想以上の大幅なものでありまして、また、最近の鉱工業生産も予想した以上の水準を保っておること、これは御承知の通りであります。しかし、四月の電力の需給状況はやや緩和してくるように考えますし、また、鉄鋼、繊維を中心とした操短なども強化されるような実情にございます。そう一いうことを考えますと、鉱工業生産は四月以降漸次沈静化していくものではないか、かように私どもは見ておるのでございます。この点は、申すまでもなく、昨年の夏以来経……
○国務大臣(佐藤榮作君) 金属鉱業は、申すまでもなく重要な基礎産業であります。わが国の金属鉱業が自由化を迎えまして困難な状況に当面するということが予想されるのでございます。今日まで政府といたしましては、貿易の自由化に備えまして各種の施策を講じて参った次第でございまするが、ただいま決議を見ました御趣旨を尊重いたしまして、さらに具体的な政策を検討し、これが実現につきまして一そうの努力を払う考えでございます。(拍手)
○佐藤榮作君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員石村英雄君は、かねて九段坂病院において病気御加療中のところ、去る四月二十四日夕刻逝去せられました。まことに痛惜の念にたえません。 ここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼のことばを申し述べたいと存じます。(拍手) 石村君は、明治三十六年九月、山口市大歳に生まれました。大正十五年、東京帝国大学経済学部を卒業後、直ちに中外商業新報社に入社し、経済部の記者として勤務するかたわら、内外の経済情勢、財政金融の調査研究につとめられました。石村君が後年財政金融の権威者としてすぐれた識見を示されたその素地は当時つちかわれた……
○国務大臣(佐藤榮作君) このたび、私は、内閣総理大臣として、国政をになうことになりました。国民各位の信頼と期待にこたえるべく、決意を新たにし、精根を傾けて、その職責を果たしてまいりたいと存じます。(拍手) この秋には、東京でIMF総会、オリンピックなど、世界的行事が開催され、大きな成功をおさめました。これは、国民の英知と努力の成果を象徴したものであり、国民の一人として、わが国の復興と発展に深い感慨を覚えるものであります。わが国の高度の発展は、諸外国の驚異の的でありますが、特に、私は、池田内閣が寛容の精神によって議会政治を正常化し、高度経済成長政策の推進によって国力の発展につとめた功績を忘れ……
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ただいまるる一時間に近くお尋ねがございましたので、あるいは答弁がその要点に触れないかもわからない、そういう点はあらかじめ断わっておきます。私はできるだけ親切にお答えするつもりでございますが、ただいま申し上げるような次第でございます。 まず第一のお尋ねは、佐藤は七月公選の際に池田路線なるものに反対してきたじゃないか、それが今回は池田路線を踏襲すると言っている、一体どういうことだ。また、寛容、調和、こういうことばを使っておる、これは忍耐を削ったことに特別な意義があるかどうか、こういうようなお尋ねであったと聞きます。 私は、皆さまにお答えするそのま……
○国務大臣(佐藤榮作君) 消費者米価について、これだけの重大なものの決定のしかたがルーズではなかったかということですが、池田内閣時代からこの問題と真剣に取り組んでおりました。そうして、消費者米価を決定するということはまことに重大な意義のあるものである、そこで、すでに御指摘になりましたように、米価審議会にもこれをかけて、この取り扱い方を十分検討したわけであります。ときたまたま総辞職の際でありまして、その手続上まことに遺憾であったように見受けるのであります。もちろん、この種の問題はできるだけ早期にきめたいという気持ちもあろうと思いますが、怱々の間にきめたというような印象を国民に与えたことは、まこと……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 施政方針を申し述べるに先立ち、一言、チャーチル英国元首相の御逝去に対し、哀悼の意を表したいと思います。(拍手) チャーチル氏は、二十世紀の傑出した政治家として、英国民のみならず、世界の尊敬と親愛を一身に集めておられました。私は、チャーチル氏がその歴史的生涯を終えられましたことに対し、ここに国民の皆さまとともに心から御冥福をお祈りいたしたいと思います。(拍手) 第四十八回通常国会の再開に際し、当面する内外の諸問題について、政府の所信を率直に申し述べたいと存じます。 私は、先般訪米し、ジョンソン大統領はじめ米国の指導者と国際情勢一般について忌憚ない意見の交換を行……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 和田君の質問にお答えをいたします。 先ほど来いろいろ御高見を交えてのお話を伺いましたが、まず第一に、自主外交について、たいへんそのことばには賛成だと言われるが、社会党の方々の自主外交と、私の考えているものとは相当の開きがあるということを看取いたしました。(拍手)どうもお話の筋をそれぞれたどってみますると、どこかにコンプレックスを感じていらっしゃるのではないか、たとえば日米交渉にあたって隠れた事件はないかとか、あるいは、話し合いをしたと言うが、縛られたのではないか、かような疑問を持たれること自身が、実は自主外交の精神に反すると私は思う。(拍手)私は、これからの一国……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 沖繩問題につきまして、たいへん田原さんの信用をおいていらっしゃる新聞記者から、絶対にアメリカは返さない、こういう話を聞いたんだが、君はだれを信用しているのか、こういうようなお話でありますが、私は、ジョンソン大統領と直接お話をいたしました。そういたしましたら、アメリカ側のジョンソン大統領の答えは、過日申し上げましたとおり、日本側の島民のこの願望はよく理解ができる、そうして、小笠原島民の願望もよくわかる、それに対しまして、よく理解はできるが、極東における自由世界の安全保障上の利益がある、この希望の実現を許す日を待望している、こういうことを大統領自……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 政府は、御承知のように、経済発展の過程において取り残された、かように考えられるあるいは農業、中小企業、これらと真剣に取り組んで、まず格差の是正をするという経済問題と真剣に取り組んでおりますが、この格差の是正は、農家の農業の生産性を向上さすことと同時に、また農家の方々の生活の向上、そういう二面を持っておると思います。先ほどお話がありましたごとく、農業基本法の示すところでは、大体において、その格差は、所得の面においても、生活水準においても、三十五年以来横ばいの状況を続けておる。ただいまなおたいへんな格差のあることを数字が示しておるのであります。 私どもは、この立場に……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ベトナム問題につきましては、私がしばしば申し上げておりますごとく、不拡大の方針をとっておることは御承知のとおりでございます。また、この問題につきまして、米国の行動は、しばしば言われておりますごとく、ゲリラ攻撃に対応してとられたやむを得ざる措置で、米国も軍事行動の激化を望んでおらないことは明らかであります。 また、この問題に関係いたしまして、わが国にある米軍の施設、区域を戦闘作戦行動のための基地として使用しておるようなことは全然ございません。したがいまして、事前協議の問題も起こっておりませんし、安全保障条約違反というような事実はございません。……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 新産業都市建設、及び工業整備特別地域整備、この法律でただいま基本計画を立てまして、そしてその具体化をはかりつつありますが、その全貌につきましては、細谷君がただいまお話しのごとく、六兆三千億というたいへん巨額の金でございます。いかにも大きい金でございますが、御承知のように、これは国、地方並びに民間、この三者が負担するものでありますし、また、昭和五十年までという十年間のものでございます。ただいま御指摘になりました中期経済計画あるいは地方財政計画等から見ましても、この程度のものはこなし得る、かように私どもは確信をいたしておる次第でございます。 ま……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 住宅対策につきまして、ことにこの住宅対策は、地方開発、かような意味も持ちますので、たいへん地方の負担が重くなる、かようなお話でございますが、私ども、社会開発の立場から、ただいまの住宅対策を強力に推進してまいりたいと思っております。ことに低所得層に対しましては、地方公共団体と協力いたしまして、低家賃住宅の戸数を大幅に増加する、かような処置をとっております。これにつきましては、もちろん、建設単価の適正化あるいは起債の充実等をはかりまして、本事業の円滑なる遂行をいたしたい、かように考えます。 次に、地方財政は、お説のとおり、今日たいへん苦しい状態……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 国と地方との関係は、もともと対立するものではございませんで、これは一体となって国政をになうもの、また行政水準を高めていく、こういうことに相協力すべきものでございます。したがいまして、行政事務の配分あるいはその財源の配分ということは、これはもう適正でなければならないということはお説のとおりであります。しかして、地方自治体に対する行政事務、これは多分にいままでの社会的あるいは歴史的沿革によるものでありまして、必ずしも理論的だけではないようでございます。したがいまして、今日のごとく、社会、経済が発展してまいりますると、当然これは検討して、そうして十……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします前に、今回の夕張炭鉱の災害で不幸にして殉職されました六十一名の方に対しまして、心から哀悼の意を表し、遺家族に対しましても、つつしんで哀悼の意を表したいと思います。また、十七名の方々がこの災害によって傷害をこうむられたことに対しまして、心からつつしんでお見舞いを申し上げる次第でございます。(拍手) 今回の災害につきましては、政府は、前回の三、池災害以来、特に、この種の災害を二度と繰り返さない、こういう立場に立ちましてあらゆる努力をしてまいりましたが、不幸にして今回のような大事故を起こしましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。 ただいまそ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) いわゆる古関判決についてでございますが、この原子爆弾投下の法律問題につきましては、いろいろの学者から各様の意見が述べられておることは、私も承知しております。しかし、問題は、これは判決でございますので、この機会に判決を批判することは適当でない、かように考えますので、私の考え方は差し控えさせていただきます。ただ、判決がどうあろうとも、この気の毒な被爆者に対する国の援護、これは万全を期さなければならないと思いますし、また、衆参両院におきましての決議の御趣旨もございますので、そういう意味におきましても、来年度はさらにその内容を充実していきたい、かように考えております。 ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 中小企業の白書は、先ほど通産大臣から説明いたしましたごとく、現状を十分究明しておると思います。たいへん困難な状況に置かれておるその実態をそのまま白書として皆さんに報告いたしております。 本来、政府は、中小企業の健全な発達なくしては国民経済の均衡ある発展を期し得ない、かような立場に立ちまして、これが基本的立場でございまして、そこで、中小企業基本法、これを定めて、その定めるところによりまして中小企業の近代化や高度化を強力に推進しておるのでございます。ただいま大企業本位の経済政策だと言われますが、中小企業基本法によっておるこの態度におきまして、私は、ただいまの政策を転……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 わが国農業に関しましては、すでに五年前に農業基本法がつくられ、農政のあり方をこれで明示いたしております。しかしながら、農業基本法による近代化あるいは高度化等がはかられましても、農業構造が拡大方向に向かわない限り、十分この目的を達することができない。ただいまは御承知のように、後継者の流出の問題すら起こしておるような農業の実情であります。専業農家でなくて兼業農家が増大する。かような立場に立ってつくづく考えてまいりますと、今後の農政のあり方としては、真剣に構造改善の問題と取り組むこと、ただいまいろいろ価格政策その他にも触れられましたが、構造政策に触……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 わが国は日米安全保障条約によりまして国の安全を守る、こういうことを国防の基本にいたしております。この安全保障条約によりまして、ただいま原子力潜水艦の寄港も許しておるのでございますが、これはどこまでも防衛的のものでありまして、ただいま言われるようなベトナム問題とは、もちろん関係ございませんし、またこれはどこまでも防衛的なものである、その点をはっきりいたしておきたいと思います。 また、ただいま原子力潜水艦の安全性についていろいろ御議論をなさいました。私は、社会党の原さんはたいへん進歩的な人物だと思いましたが、原子力の何たるかについての御理解がな……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 この農地改革をいかに考えるかというまず第一のお尋ねでありますが、これは申すまでもなく、また、ただいまも山内君が御指摘になりましたように、古い地主制度を基調とした農地制度を改革いたしまして、農村の民主化をはかり、同時に農業の生産性を上げた、これがわが国経済の各方面に好影響を与え、今日の発展のその基礎をなした、かように私は考えるのであります。(拍手)この点は、山内君と同じような考え方だと思います。 かように考えますと、この農地改革はまことに重大な意義を持つものでありますが、この農地改革において重要なる役割りを果たしました旧地主の方々、いわゆる農……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 最近の経済成長、その結果至るところに公害というような現象があらわれた、したがって、かような状態を引き起こした政府の責任をいかに考えるか、また、これに対していかにこたえるつもりかというお尋ねでございます。 私は、高度経済成長が偉大なる成果をあげたことは、もうすでにたびたび申し上げております。しかしながら、社会に対して貢献したことは、経済発展の面ですばらしいのでありますが、同時に、私どもが考えるような住みいい社会をつくる、こういう観点に立ってこの経済開発を見直す時期が来ているのではないか、こういう意味で、今回、指摘されます公害等の、非常に住みに……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 親企業と下請中小企業との関係について、中村さんは特別な見方をしていらっしゃるようでございますが、最近の経済情勢から申しますと、必ずしもただいまのようなお説のとおりではないと思うのです。ことに、下請産業と一口に申しますが、いわゆる部品加工工業、こういうようなものになりますと、これはりっぱな経済的分業体制だと、かように私は考えます。したがいまして、こういう事柄も望ましいものでありますので、全体についていかなる状態が一番望ましいのか、こういうことを考えて経済を指導することが必要だと思います。ただ、ただいま申しますように、経済的分業体制だと、かように申しましても、力の関係……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 沖繩及び小笠原諸島の施政権の早期返還に対する国民の強い願望は、政府としてもあらゆる機会に米側に申し入れてきており、先般の訪米に際しても、ジョンソン大統領に対し特に申し入れたところであります。これに対し米側も十分の理解を示したことは、共同声明によって御承知のとおりであります。政府は、今後も、本決議の趣旨に従い、施政権返還の早期実現のため一そう努力していく所存であります。(拍手)
【次の発言】 ただいまの御決議に対して政府の所信を申し述べます。
ソ連との平和条約の締結につきましては、わが国北方領土の問題をめぐって、国後、択捉両島を固有の領土としてその返還を主張するわ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 答弁に先立ちまして、一言発言を許していただきたいと思います。 先般の夕張炭鉱事故に引き続きまして、本日また伊王島に災害が起こりました。まことに残念であります。さっそく現地に係官を派遣いたしまして対策を講ずることにいたしております。不幸にして災害をこうむられ、その犠牲者となられた方に対しまして衷心より哀悼の意を表するとともに、今後再びかかる事故の発生しないように、徹底的に原因を究明して、十分な対策を講じてまいる所存であります。 次に、お答えをいたします。 産業災害防止対策審議会、これは昨年の十月に発足いたしまして以来、真剣に審議を重ねております。その審議活動の……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 今回、伊王島にまた爆発事故を起こし、多数の犠牲者を出しましたことについて、心から遺憾の意を表し、また、なくなれた方々に対して、衷心より哀悼の意を表するものであります。 ただいま御意見にありましたごとく、この際政府は、石炭産業の重要性、さらにまた、保安確保の必要性、これらを十分再認識し、そうして誇りと自信を持つ職場にすることがその基本的問題だ、かように私は考えます。第二次石炭調査団の答申におきましてもこれらの点に触れておりますので、十分その答申を尊重し、今後とも安全の確保をはかってまいるとともに、今回の災害についての原因を徹底的に究明いたしまして、これが対策を立て……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) ベトナムの問題につきまして、緊急質問をただいま松本君がなされました。もちろん、この問題につきましては、私の所見はしばしば他の委員会等におきまして披露いたしておりますから、私の考え方、いわゆる不拡大ということについて、また、非常に関心を持っておるということは、よく御承知のことだと思います。また、私自身は、機会あるごとに、わがほうの考え方をアメリカに十分連絡をとっております。 もちろん、かかる問題について最も大事なことは、事態を正しく認識することだと思います。(拍手)一方的宣伝だけに迷わされて立論するごときは、お互いに慎まなければならないことだと思います。(拍手)た……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 安井君にお答えいたします。 東京都議会におきまして、今回起きた事件は、あなたと同様に私もきわめて遺憾に思います。今日までわが国の民主政治は、それぞれ順調な伸展を遂げてまいったと思いますが、かような事柄によりまして、民主政治に対する信頼が得られない、こういうようなことが起きましては、これはたいへんな問題だと私は思います。かような意味合いにおきましても、東京都は、地方自治行政の運営が正常化されるように、関係者の特段の留意を促したい、かように思います。 ただいまこの問題につきまして、政治の大もとを正せ、こういう御意見があるやに伺います。私もそのとおりだと思います。今……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 四十年度の経済成長率は、実質七・五%、名目一一%、これはしばしば申し上げたところでございます。この安定成長を期するために、私どもは、財政金融政策を中心として、経済政策の機動的、弾力的な運用をいたしてまいりたいと思います。これによりまして初めて安定成長が遂げられる、かように考えます。そうして国際収支の均衡と消費者物価の安定を期し、低生産性部門の近代化、生産性の向上をはかる等の施策を展開いたしまして、民間の協力を得るならば、必ずただいまのような安定成長の率を達成することができる、かように考えておる次第でございます。 第二に、設備投資がわが国産業におきましてはなかなか……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 観光基本法の前文をよく読んでいらっしゃるようでありますから、私もその前文のとおりだ、御指摘になったとおり、いわゆる国際平和、そのシンボルが国際観光である、かように考えております。豆とに、御承知のように、機会あるごとに私は申しておりますが、われわれは自由を守り、平和に徹する、連れこそわが国の基本的な態度である。この意味において、国際観光が国際平和のシンボルである、こういう意味においての私どもの重大なる使命があるのだ、かように私は思っております。(拍手)御指摘のとおりであります。これは、今日は、ただ単に、景観、景色だけを見るというような時代でない……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 さすがに、松井さんは佐渡の御出身で、漁業についてはたいへん専門のようでいらっしゃいます。御承知のように、漁業の形態につきましても、沿岸漁業あるいは中小漁業あるいは遠洋漁業等の表現であらわしておりますように、その形態によりまして必ずしも大資本を要するものばかりではないのであります。したがいまして、その資本だけから見まして、大資本、あるいは小資本、こういうので区別することもいかがかと思います。しかし、御指摘のように、いわゆる沿岸漁業や中小漁業が、大資本の漁業と比べ、また他産業と比べて格差のあることは、私どももこれを認めるにやぶさかでございません。……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 わが国の態度は、しばしば申し上げましたとおり、自由を守り、平和に徹する、これはよく、もう耳にタコのできるほど覚えていらっしゃることだと思いますが、私どもはその考え方で進んでおります。したがいまして、今回のベトナム問題につきましても、どこまでも平和を維持する、そういう立場でわれわれも主張をいたしておるわけでございます。したがいまして、今日アメリカが無条件話し合いに応ずる、こういうことについても、これに好感を持って、これを進めておるような次第であります。また、しばしば申し上げておりますように、アメリカ自身は、ハノイを爆撃したり、あるいは北ベトナム……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) このたびの参議院議員通常選挙によりまして、新たに選ばれた議員諸君を迎え、臨時国会が召集された機会に、所信の一端を表明いたします。 今回の選挙において、政府並びに自由民主党の政策は、国民大多数の深い理解と根強い支持を得ることができました。(拍手)このことは、平和に徹し、自由を守り、人間尊重を政策の基本とする政治が国民諸君の共鳴と信頼を得たことにほかなりません。(拍手)今回の選挙にあたって、私は、広く全国各地を訪問し、国民諸君の強い願望を直接はだに感ずることができました。それは清潔な責任政治の確立であり、経済不況の克服であり、アジアの平和の回復であります。私は、政府……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 前回の参議院選挙につきまして、国民大多数の支持を得たと言うけれども、そうじゃないじゃないか、われわれのほうがよほど伸展した、かようなお話でございますが、私は、自由民主党が前回の選挙におきまして獲得いたしました議席より以上のものを、今回獲得いたしたのであります。(「東京都はどうした」と呼ぶ者あり)かような点から、国民多数の私どもに対する支持あり、この意味におきまして、その責任の重いことを考え、従前に引き続いて政局を担当するものであります。(拍手)私は、かような立場におきまして、十分その負託にこたえ、また、国民の期待に沿いたいと思います。 ただ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 経済の状態は、私が所信表明で申しましたように、輸出は伸びているが、なかなか国内において立ち直っていない、かような実情にございます。この点から、私のことしの年頭における記者会員の談話等を引用されて、政府自身ははたして正確にこれを握っているのかどうか、かようなお尋ねがあるのであります。私は、よく申し上げたいのは、経済自体非常に萎縮している際は、これに元気をつける必要もあります。また、非常に過熱を来たすおそれのある際には、これに忠告を発する必要もあると思います。かような観点に立って、ことしの正月私が申しましたことは、今日の不況をできるだけ早く克服し……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第五十回国会に臨み、日韓国交正常化のための諸条約の締結及び関係案件等の審議を求めるにあたり、当面する外交と経済の諸問題について、政府の所信を明らかにいたしたいと存じます。(拍手) わが国は、戦後、真の平和の実現を国是として今日の繁栄を築いてまいりました。さきの大戦において戦争の惨禍を身をもって経験したわが国民は、世界のいずれの国民にも増して強く自由と平和を希求しております。平和の維持こそ、人類の理想であり、わが国が国家の名誉にかけて努力すべき課題であります。(拍手)今日の世界において、アジアが最も不安定かつ流動的な情勢にあることは、まことに憂慮にたえません。私は……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 今次臨時国会は内政問題こそ審議すべきに、日韓条約をまず中心にしていることは不都合ではないか、かようなお話でございます。ただいまお述べになりましたような国内事情を私も率直に認めております。ただいま、国内において、ことしの歳入状況はずいぶん予想を裏切って落ち込んでおりますし、また、他の面におきまして経済の回復対策等をいろいろ講じておりますが、それもいままでのところでは十分の成果があがっておりません。しかし、私は、今日までとりましたそれぞれの政策が順次これから効果があがってくるように思います。財政投融資にいたしましても、二千百億の増加分も、この十、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 もちろん、私は池田内閣総理大臣のあとを引き受けて政局を担当しておるものでございます。その意味におきましてまたわが自由民主党の内閣の続きだ、こういうような意味におきましても、前内閣の政策の浸透あるいはその効果、これを十分評価してみたいと思います。御承知のように、池田内閣当時におきまして、所得倍増、経済高度成長、これを唱えまして、そうして幸いにして国民の協力を得て非常な発展をもたらしたこと、これは皆さま方も御了承のところだと思います。私どももまた国をあげての経済の繁栄に対して心から喜んだものであります。しかし、その結果がいわゆるひずみの問題を引き……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 領土管轄権についてのお尋ねでありますが、これはすでにたびたびお答えもいたしました。御承知のように、私どもは、国連の決議、これを尊重いたしております。ただいま、国連自身が国連憲章違反だと、かように仰せられましたが、御承知のように、この国連の決議はその後毎年確認されておりますので、これは国連憲章違反だとは思いません。私どもは、国連を尊重する、そういう立場でございますので、この決議を引用することは、これは当然といわなければならない、かように御了承いただきます。(拍手) また、第二の問題といたしまして、北鮮との関係についてのお尋ねでございます。北鮮……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 それぞれお尋ねがございましたので、関係大臣から詳細にお答えすると思いますが、私に対しましては、漁業のその地位、また世界各地で活動しておるこの現況から見まして、救難、救護、安全操業等について絶えず注意し、そうして総合的な対策を樹立することが最も必要だ、かようにお尋ねであったと思います。私も丹羽君と同じ考え方を持っております。ただいま日本の漁業の状況等から見まして、遠く各地で活動しておりますだけに、これに対する対策は、総合的な対策を立てて、そうして安全操業にいそしみ得るような、そういう環境をつくりたい、かように思います。関係各省を督励して、総合的……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず第一に、私の政治姿勢についての御批判でございましたが、これは御批判は御自由であります。また御意見も、述べられることも御自由であります。私も御意見を伺った次第でございます。 具体的な問題についてのお尋ねがございましたから、これにつきましては私がお答えをいたします。 まず第一は、日韓条約はこれは無効だ、社会党は無効宣言をなさいました。私どもは、りっぱに国会の承認を得たものと、かように考えております。(拍手)すでに十八日におきましては、日韓間におきまして批准書の交換もできまして、今回新しい善隣友好関係を樹立しておりますから、さように御承知を……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私からお答えするのは二点ばかりに限りたいと思っておりますが、御承知のように、この一年間、経済のいわゆるひずみ是正といわれたもの、これを克服することが私の内閣の仕事だ、かように考えまして、真剣に取り組んでまいったのであります。基本的には、この経済の不況克服、それにはどうしたらいいのかということで、あるいは金融の面、税制の面等々、具体的にもいろいろの処置をとりましたが、その際に最も注意し、積極的に集中して施策を講じたものが、いわゆる生産性の低い部門。これが中小企業であり、さらにまた農業であることは申すまでもないのであります。したがいまして、佐藤内……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ただいまお尋ねになりました野間君も国鉄出身なら、答える私も国鉄の出身であります。したがいまして、国鉄の事情はよく御承知だと思います。また、国鉄の果たす経済的使命、これもよく御承知のことだと思います。私も、これらの国鉄の果たす使命につきましては、ただいまお尋ねになりました野間君と同じような考え方で、この使命の完遂にこの上とも努力するつもりでございます。 ただいまの国鉄の現状は、私が申し上げるまでもなく、この使命を果たすことができない。輸送力が逼迫し、同時にまた財政的にも非常な困難な状態に当面しておること、このことは百も御承知だと思います。かよ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第五十一回通常国会の再開に際し、昭和四十一年度予算その他の重要案件の審議を求めるにあたり、当面する内外の諸問題について、政府の所信を明らかにいたしたいと存じます。 私は、本年こそ不況を克服し、経済を立て直すべき年であるとかたく決意し、こん身の勇気をもってこの問題に対処してまいる覚悟であります。(拍手)このため、本格的な公債政策を取り入れるとともに、大幅な減税を断行することといたしました。これは財政面から積極的に景気の回復をはかり、経済の均衡ある発展と国民生活の安定向上を実現するためであります。 昨年の夏以来強力に推進いたしました一連の景気対策は、現在ようやくそ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私の政治姿勢につきましてまずお尋ねがございましたが、施政演説で詳しく私は説明をいたしておりますので、ただいまは国民の皆さまは御了承を得ておると思います。 昨年末における国会の状況につきましては、まことに遺憾、残念であります。与野党双方におきまして、国会の正常化についての申し合わせができたばかりであります。ただいま私自身が、議会制民主政治を守る、かように申しておりますし、また、昨年申し合わされたそのこと自身は、各党におきまして責任をもって国会の正常化に努力すべきことだ、かように思います。当時言われましたことは、もちろん言論の府であります。した……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ベトナム問題が、アジアの平和、また、わが国にとりましても、たいへん重大な意義を持っておりますことは、御指摘のとおりであります。このベトナムの問題が、昨年クリスマス以来北爆が停止されておりましたが、このたび再開されたことにつきまして、私もたいへん遺憾に思う次第であります。もちろん、私どもは平和への解決を望んでいた。これが再開という方向に向かったことは、やむを得ない仕儀にしろ、まことに遺憾に思います。この期間中、いわゆる爆撃は停止しておりましたが、北からの浸透は依然として続いていた、かような状態でありますので、一方的にだけこれを非難することは当た……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えに入ります前に、まず、今回の航空機事故でとうとい生命を失われた百三十三名の方々の御冥福をお祈りし、同時に、御遺族の方々に対しつつしんで哀悼の意を表したいと思います。 さて、ただいま、この事故から発生いたしまして、わが国の航空機のあり方について種々お尋ねがございました。 申すまでもなく、近代交通機関として航空機の果たす役割りはたいへん大きいのであります。また、そういう意味合いにおきまして、この問題と真剣に取り組んでいかなければならないと思います。 最近の科学技術の発展から申しまして、わずかな操縦のそごが重大なる結果を招来するとか、あるいは整備上のわずかな……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私が申し上げるまでもなく、わが教育界において私学が果たしておる役割りは、たいへん大きいのでございます。教育の発展、充実のためには、私学の存在を忘れるわけにはまいりません。かような意味におきまして、私学についての特にその振興策は、政府ももちろん十分考えておる次第でございます。御承知のように、私学振興会の制度がありまして、低利長期にわたる資金の融資をするとか、あるいはまた理科設備、あるいは研究設備等の助成をするとか、あるいはまた学資金の十分ない生徒に対しての育英資金等におきましても、官立、私学の区別をなくした扱い方をするとか、あらゆる面におきまし……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 今回の減税は、申すまでもなく、税制調査会の答申に基づいて決定をいたしたのであります。この所得減税、企業減税、相続税の減税、その他物品税の減税等におきましても、おおむねこの答申によったものであります。この答申は、一昨年すでに政府に対しまして、長期減税計画を出しております。この長期減税計画と矛盾しないように、その線を守り、なおかつ、今日の経済実情に合った減税を試みたのでございます。さような意味におきまして、所得減税、同時に企業減税も行なうということであります。ただいま所得減税と企業減税の割合が七対五と、かように言われますが、私どもの計算では、所得……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 湯山君にお答えいたします。 農業の現状につきましては、ただいま分析されたような状態が起きております。いわゆる兼業農家がふえておるとか、あるいは労働力がだんだん減っているとか、困難な実情にあること、これは私もそのとおりと認めます。 そこで、しばしば申し上げるのでございますが、農業基本法に基づいて、何とかしてその生産性を向上していこう、農業もまた国民経済の健全なる一環としてりっぱに成長することを心から望んでおる、そういう意味で、生産性の低い、あるいは農業、あるいは中小企業、こういうものと真剣に取り組むということをたびたびお約束いたしておるわけであります。 そこで……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) ただいまのお話にもありましたように、租税は国民負担、そういう意味でどこまでも公平でなければなりません。また同時に、租税負担が軽減するように、政治はそういう方向で指標を立てておるわけであります。今回の減税措置も、さような意味におきまして国民負担を軽減したいというので、三千六百億にのぼる大幅の減税を計画いたしたのであります。また、こういう点について、いわゆる経済の発展状況とあわせまして税制をつくるべき、その段階にきておる。すでに公債政策も導入した今日でありますから、その基本的な根本的な改正をすべきではないか、こういう御意見につきまして、さような意味において税制調査会は……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ここ一カ月ばかりの間に不幸な航空機事故を三回も発生し、まことに残念でございます。遭難された方、同時にまた遺家族の方に対しまして、つつしんで弔意を表する次第であります。 ただいまお話がありましたが、今日、航空機は、私が申し上げるまでもなく、最も近代的な、国内におきましても国際的におきましても交通手段として最も大事な役割りを果たし、また同時に、私どもの生活上不可欠の交通手段であります。もともと、航空機といわず、鉄道、自動車、船、これらのものは全部、とうとい人命を頂かるものでございますから、何はともかく、第一に安全性に徹しなければならないことは申……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私からお答えするのは二点であります。 まず、その第一は、社会保障、ことに社会福祉費が全体の予算のうちに占むる割合がたいへん小さいじゃないか、ことに、この際積極的な大型予算を組んだにしては、どうもこれらについての配慮が足らない、かようなお話でございます。この点につきまして、私が申し上げるまでもなく、国民の生活を守り、向上させ、安心して生活ができるようにする、これが政治であると、かようにもいわれております。この意味で、いわゆる福祉国家の建設ということが叫ばれておるのであります。そういう意味から、政府は、予算編成にあたりましては、必ずこの社会保障……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ただいまも御指摘になりましたように、国、同時に地方、これは車の両輪だ、かようにたとえられております。ただいま細谷君は、その両輪が動かないような状況になっておる、かような御批判でございます。しかし、私どもは民主政治のあり方から申しまして、地方自治こそ健全に十分の発達を遂げることが望ましいのであります。さような意味におきまして、地方自治の財源の確保について在来から特段の留意を払っておるのでございます。しかし、最近は、国自身も、御承知のように、経済不況から税収が思うようにまいっておりません。そこへ持ってきて、さらに大減税を実施しようというのでありま……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 かつての水産王国日本、世界第一だといわれたものが、いまのお話のようにその首位を譲ることになりました。まことに残念でございます。しかしてこの魚肉は、われわれの生活にとりましてまことに重要な資源であります。日本国民から見ますと、魚はどうしても忘れられない。そういう意味で、特に漁業の振興等について努力してまいったところであります。しかしながら、外国の漁獲への進出もありますし、その意味ではよほど競争も激化してまいりました。また、国際規制の問題もありまして、新しい漁場の開拓ということは、なかなか困難な状況にもなっております。しかし、これらの事情に応じて……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず第一に、経済は発展したが、国民生活は軽視されているのじゃないか、こういう意味のお尋ねでございます。私はかねてから申し上げておりますように、経済発展と、均衡のとれた社会開発を強力に推進する、これが私の決意であります。したがいまして、これが努力に最善を尽くしてまいるつもりであります。ただいま所得倍増計画、三十五年に国民所得に対してその当時振替所得というものを一応計画しておるが、最近はこの計画が実現されておらない、低下しておる、かようなお話があり、ただいまのような第一段の御質問があったと思います。しかし、私どもは、今日の現状、その点から見まして……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 森君にお答えいたします。 ただいまの入会権、御指摘のとおり、むずかしい法律問題でもありますが、同時にこれが経済問題である。地域的な住民にとりましても、たいへんな関心の深い問題でございます。しかし、やはりこの入会権を近代化していく、入会林野を近代化していくということも、農業基本法や、林業基本法の示しておるところの、いわゆる農林業の構造改善上、これは必要なことのように私ども考えます。この観点に立ちまして、今回の法律においては、すでにありまする権利者の入会権を近代化し、また土地の利用を増進しよう、こういうことをねらいとしておるものであります。私は、農林業の経営発展上、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 社会保障制度を充実してそして国民の福祉を増進するということ、これは政治の大きい目標でありますし、近代国家としてはすべてそれをねらっておるわけであります。いわゆる福祉国家の建設ということに非常な努力を払っておるわけであります。その社会保障のうちでも、ただいま問題になります所得保障、その所得保障の中核をなすところの年金制度、これについては、政府は非常な関心を持ってそうしてこれの充実強化に力をいたしておるわけであります。 御承知のように、昨年は厚生年金について改正を行ないました。ことしは国民年金について、いわゆる夫婦一万円、こういう年金制度を実現……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 農業問題は、申すまでもなく、国民食糧の確保、同時にまた農家経済の充実、そういう意味におきまして最も重要な問題でございます。わが国におきましても、この観点から農業基本法を制定し、また、その定むるところの諸政策を政府は遂行しておるのでございます。そこから、ただいま自立経営農家を育成強化する、こういうような必要が生じております。昨年も農地管理事業団の法案を提案いたしまして、皆さま方の御審議を得たのでございますが、結局、これは成立を見るに至らなかった。まことに私は残念に思っておる次第であります。もしもこの法律案が成立いたしておりましたならば、これはパ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 佐々木君に、ただいまの緊急質問に対しお答えいたします。 お説のように、アジアに位する日本、その日本の安全と平和は、アジアが安全であり、平和でなければならないことは、御指摘のとおりであります。その立場に立ちまして、わが国の安全を確保する、こういうことで、私はしばしばわが国の基本的な態度を説明してまいりました。自由を守り、平和に徹する、このことを絶えず呼びかけてまいりました。そのためには、お互いにそれぞれの国の独立を尊重し、同時にまた、内政に干渉しないということを強く要望してまいったのであります。(拍手)私が申し上げるまでもなく、アジアにはいろいろの国がございます。……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 今回の放送法並びに電波法の一部改正案、これはわが国の放送が十数年の経験を積み、その間、この経験も生かさなければならないが、同時に、国民の放送に対する要望、これを背景にいたしまして、今回、今後の放送のあり方、同時にまた、電波政策の基本を定めようとするものであります。その意味におきまして、御指摘にもありましたが、まことに重大なる意義を持つ電波法並びに放送法の改正だ、かように私ども考えております。したがいまして、一昨年設けられました臨時放送関係法制調査会の答申をもとにいたしましたことはもちろんのこと、各界、各方面の方々の御意見を参酌いたしまして、そ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ただいま御指摘になりましたように、三十九年の交通事故の死傷者は四十万人をこしております。たいへんな災害でございます。私は、かねてから、人間尊重また人命尊重という、その政治を心から願っておるのであります。この交通事故の惨害を考えますると、これは、家庭の主柱である者を失うとか、あるいはまた幼児が災害にかかれば、将来希望を失うということにもなるのでありまして、ほんとに、なくなった方には心から御同情いたしますが、同時に、残られた方々にとって、たいへんな家庭の災害でもある、かように私は思うのでありまして、この観点から、どうしても交通事故の絶滅を期そう、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 政治の目標は、私がここであらためて申し上げるまでもなく、平和で、同時にまた、国民生活が安定して向上するように、これが私どもの政治のねらいであります。この観点に立ちまして、経済活動も、経済開発がこれに非常に役立つものだ、かように考えております。しかしながら、昨年は、しばしばいわれるように、不況に明け不況に暮れた、かようにいわれておるように、経済界はまことに不振でありました。その間私どもの期待しないような事態が幾多次々に起こりました。そこで、どうしてもこの経済の不況を克服し、そして物価を安定さす、これが今日の政府に課せられた最大の課題だ、かように……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 西村君にお答えいたします。 国連中心主義、あるいは自由主義諸国との親交を重ね、同町にアジアにある国としての外交と、こういう三つの柱をいままで言っていたがということですが、私もこの三つの柱で外交を進めていくつもりであります。 私が申し上げるまでもなく、アジアにはそれぞれの国がそれぞれの立場において政治を行なっておりますし、また、これがイデオロギーの相違でもあります。また、ときに、奨める国、貧しき国、いわゆる開発途上にある国もあるわけであります。そういう意味で、種々の国が存在しておりますが、その中にあって、平和を守り、安定を希望し、繁栄を願う、どうしたらいいか。こ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 沢田君にお答えいたします。 特許事務の大事なことは御指摘のとおりであります。したがいまして、特許庁長官の人事、これは通産省におきましても政府におきましても、十分意を用いておるところでありまして、人材を登用する、こういうことでございます。今後ともその方針でまいるつもりであります。それに際しましては、技術者であるとかあるいは事務であるとか、かように片一方にへんぱ的な扱いをするつもりはございません。要は、この人を起用すれば必ず特許事務について成果をあげる、こういう人を起用するつもりであります。また、任期等につきましても、たいへん在任期間が短い、こういうことでおしかりを……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 楢崎君にお答えいたします。 昨日は私、所用のために、お尋ねを直接聞いてお答えすることができなくて、たいへん申しわけございません。きょうあらためてお答えをする次第であります。お尋ねになりました点を、速記その他について検討いたし、また、事前に質疑項目等について御提出になりましたそれらの点でお答えをいたしますので、あるいは一部違っておりますか、そういう点がありましたら、御了承いただきたいと思います。 まず第一に、最近に外務省においていろいろ発表しておる日米安全保障条約あるいはわが国の国防の基本についての考え方でございますが、これは外務省が公式に発表いたしておりますの……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 たいへん多岐にわたってのお尋ねでありますが、私に対する質問は、冒頭におきまして、都市の交通並びに水道の問題、水の確保のために長期的な計画を持つべきじゃないか、同時にまた、それが大衆の利便、これを十分果たす、こういうものであるべきだ、かような御意見であり、同時にそのお尋ねであったかと思います。 もちろん、最近の経済活動、また近代文明、その最も著しい特徴は過大都市でございます。その意味におきまして都市の再開発が今日の政治上の課題であります。都市の再開発、そういう場合に問題になりますのは、ただいまの交通の整備、水の確保の問題だ、かように思います。……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 冒頭におきまして、ベトナム問題について平和的解決に関する決議案を社会党は提案したが、自民党は何らの誠意を示さず、これについて党利党略的な行動をするのみだ、こういう御批判でございましたが、ただいまの質問でよくわかるように、その決議案は、平和的解決という決議案でございますから、たいへんけっこうであります。私どもは、しばしば政府また自民党が申し上げておるように、平和的解決の一日も早いことを希望しており、心から叫んでおります。それと同じことばでありますから、けっこうでありますが、ただいま御質問がありましたように、中身はたいへん違うのであります。私は、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 御指摘のように、土地、同時にまた、その地価ということは、いわゆる物価を形成する上におきましても一番大きな影響を与えるものだと思っております。したがいまして、国民生活を安定向上さすためにも、また経済を発展さすためにも、この土地問題を解決しなければならないことは、ただいまの御指摘のとおりであります。したがいまして、政府におきましては、昨年から地価対策閣僚協議会を開きまして種々検討を遂げてまいったのであります。ただいまもお話がありましたが、土地はやはり希少価値とでも申しますか、宅地が不十分だ、そういうところで特殊の金融のある者が不当な所得を得るというような、いわゆる投機……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 最近起こりました贈収賄事件やそれに関連するような不祥事件が各地で次々起こりましたこと、まことに私、残念に思っておる次第でございます。 私が申し上げるまでもなく、政治は清潔でなければ、国民の支持を得るということはまことに困難だと思います。これは中央も地方も同じでございます。こういう意味におきまして、綱紀の粛正を叫んで、また官紀をゆるめないように、あらゆる努力を続けておるのであります。十分今後とも自粛自戒、もって国民の信頼にこたえるつもりでございます。 第二の問題といたしまして、地方と中央との財源の再分配、これが適正でなければならない、こうい……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 医療保険の現状から見まして、これに将来の安定、発展のためにこの際抜本的な、総合的な検討を必要とする、これは淡谷君もおっしゃるとおりでありまして、私どももそのとおりに考えておりますから、今回審議会をつくろうといたしたのであります。 御承知のように、いままであります社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会は、これはただいまのような総合的、抜本的検討をいたしますのにはその権限、権能等必ずしも適当ではない、かように私は思いますので、この際審議会をつくって、そうしていまあります二つの審議会と十分調整をはかって、いわゆる屋上屋をつくるようなことなしに、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 数点についてお尋ねがございましたが、まず第一は、都道府県、市町村、この二段構成を認めるかどうかというお尋ねであります。 私が申し上げるまでもなく、今日の地方公共団体というのは、ただいまの二段構造、このたてまえを堅持しておるのでありまして、今回の合併につきましても、この二段構造のたてまえでいろいろくふうしておるわけであります。いろいろお尋ねがありまして、政府は出先機関をふやすような考えがあるんじゃないかとか、あるいはこの際道州制を採用するような考えを持っているんじゃないかというお尋ねでありますが、ただいまさような点についての具体的な構想は全然……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 臨時国会が開かれるにあたりまして、最近におけるわが国内外の若干の問題について、所信を明らかにいたしたいと存じます。 最近におけるわが国経済は、不況を脱却し、上昇の機運に向かっております。引き続く輸出の好調に加え、在庫投資、消費需要は持ち直しつつあり、出産、出荷等の産業活動も着実に回復してまいりました。企業収益も最近になって好転しつつあります。このことは、政府がとった財政規模の拡大、大幅減税をはじめとする一連の施策が、国民各位のなみなみならぬ努力と相まってその効果をあらわしてきたことにぽかなりません。(拍手)私は、今後の経済運営にあたっては、均衡がとれ充実した経済……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず冒頭に、有力紙の世論調査、その結果につきまして、たいへん御同情のある御忠言をいただきました。心からお礼を申し上げます。私も、もちろんこの世論調査、これは十分気をつけなければならないと思いますし、ことに貴重な反省の資料だ、かように思っておりますので、この点は、山本君の御忠告同様、私自身が十分反省する、かように御了承いただきたいと思います。 次に、ベトナム問題を中心にしてのわが国の基本的態度について種々御意見を交えてのお尋ねでございました。私がこれをいろいろ整理いたしましてお答えをしないと、御意見の部分が非常に多いので答えにくいのであります……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。 最初に、物価問題全般についての政府の態度並びに今日物価が動いておる、それについての御批判があり、政府の考え方をただされました。 私は過日の所信表明でも申しましたように、今日経済はすでにその不況を脱却し上昇の機運にある、こういうことを申しました。ただいまのこの物価の動きを見ましても、その感を実は一そう強めるのであります。足鹿君から御指摘になりましたように、最近の物価は、消費者物価のみならず、卸売り物価も上昇しております。この卸売り物価が上昇しておることがただいまの景気が上昇しておることを実は物語っておるのであります。私が申し上げるまでもなく……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 このたび新潟地方を襲いました集中豪雨、まことに大きな損害を各地に発生させておりまして、罹災者の方々に対しまして心から御同情申し上げ、同町に、つつしんでお見舞い申し上げる次第でございます。(拍手) 御承知のように、今回の水害につきましていろいろの点を考えさせられるのでございます。ただいまのお話にもありましたように、中小河川その他いわゆる河川改修と呼ばれるものもさることでございますが、政府が直接やらない、いわゆる政府の補助対象の河川、そういうものがはんらんをいたすと非常な損害を各地に巻き起こすのでありまして、こういう意味から、河川改修計画につき……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 川崎君にお答えいたします。 御承知のように、裁判権移送問題、これはなぜ起こったか、印すまでもなく、沖縄についての施政権、これが日本にはなくてアメリカにある結果でございます。私ども、この状態をまことに残念に思っておるから、一日も早く沖縄が祖国に復帰するように、沖縄同胞百万の宿願をかなえさせようとあらゆる努力をしておるわけであります。 ちょうどラスク国務長官が日米貿易経済合同委員会で来朝しておりまして、そこで私もラスク長官に会う機会がありましたので、この沖縄の裁判権移送問題につきまして十分懇談をいたしました。お話のうちにもありましたように、沖縄の問題ではなくてワシ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第五十三回国会の開会にあたり、当面する内外の諸情勢についての見解と、これに対処する所信を明らかにしたいと思います。 私は、政権担当以来、政治の要諦は国民の信頼を得ることにあると信じ、清く正しい政治を行なうことを施政の基本としてまいりました。しかるに、近時公党の道義と綱紀の問題について国民の疑惑と不信を招くような事態が生じたことは、まことに遺憾にたえません。政権を担当する者としてその責任を痛感いたしております。さらに、このような事態が、国民の間にわが国の議会民主政治そのものに対する不信の念を生み出しつつあることを、何よりも深く憂慮するものであります。私は、この現実……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) ただいまのお尋ねに答えます前に、一言、昨日愛知県下で発生いたしました交通事故につきまして、私の感じを申したいと思います。 昨日は、愛知県下におきまして、多数のいたいけな保育園児が一瞬にして交通事故で生命を奪われました。まことに痛ましく、涙なくしては聞くこともできない事柄であります。御両親をはじめ御家族に対し心から哀悼の意を表するとともに、交通事故防止対策推進に決意を新たにするものであります。(拍手)ちょうど昨日も所信表明で交通事故防止、これに国民の協力を求めた際でございます。こういう事故が起こったこの機会に、さらに私は諸君とともに決意を新たにして交通事故防止対策……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) さきの総選挙において、わが自由民主党は国民多数の支持を得、私は、国会の指名により、再び内閣首班の重責をになうことになりました。私は、国民各位の信頼にこたえ、いよいよ心を新たにして議会民主政治の確立につとめる決意であります。(拍手)総選挙において公約した諸政策の実現はもとより、国民の付託に対する責任を誠実に果たしてまいります。 今日わが国は、経済の国際化、人口構造の変化、急激な都市化など、経済社会の構造的変化に直面しております。この変化は、急激かつ広範で、国民生活に及ぼす影響ははかり知れないものがあります。社会の主体は人間であり、経済の繁栄は人間の尊厳と社会の福祉……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず第一は、国会の正常化についてのお尋ねであります。 私は、今回の選挙を通じましていろいろなことを勉強いたしましたが、そのうちに特に国民の皆さんは、健全な議会制民主政治を守り、またそれを育ててくれろ、こういうことにたいへんな熱意を示されました。私は、現在の状態のもとにおきまして、この議会制民主政治をわれわれの力によってぜひとも確立し、これを守り抜き前進させなければならない、かようなかたい決意をいたしたのであります。これは、わが自由民主党ばかりではございません。おそらく選挙で選ばれた皆さん方も同じような気持ちを持っておられるだろうと思います。……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 景気の見通しと公債政策との関係について、ただいま川村君はいろいろ私見をまじえてのお尋ねでございます。この公債発行に踏み切りました昨年の経済状態に思いをいたしていただきたい。昨年は不況を克服するということが私どもに課せられた緊要な課題でありました。公債を発行することによりまして、この不況克服ができました。社会党の諸君は、公債を発行すれば必ずインフレになる、かように言われましたが、私は、国民の期待されるように、不況の克服ができました、これで公債発行は成功したと思います。 そこで、考えていただきたいのは、公債発行そのものには、いわゆる景気を刺激す……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私からお答えするのが適当だと思う事項についてお答えいたします。その他は各大臣からお答えするつもりでございます。 まず第一に、地方自治団体の財政についていろいろの広範にわたる御意見が述べられました。そうして、この地方団体の自主財源を確立しろという御要望でございます。私は、そのお説の中に引用されました行政調査会だとか地方制度調査会等々がすでに答申しておりますその点について、政府が真剣に取り組んでおることをお話いたします。 御承知のように、国、地方、この団体間におきましては、行政事務が適当に配分されることが、まず一つの問題であります。適当に配分されました事務に対して……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 村山君にお答えいたします。 税制のあり方、お説のとおり、これは公正で、また公平でなければならない。税そのものは中立性が保たれなければならない、同時に、民主的にこれが決定されなければならない、かように私は考えております。各国の議会史をひもときましても、この税の問題が中心であることは御存じのとおりであります。 次に、交際費についてのお尋ねであります。交際費は、これは私が申し上げるまでもなく、いわゆる事業遂行上必要な経費でございます。したがいまして、お説のように遊興に使われているというだけのものではございません。問題は、この交際費を、どういうように節度あり、また良識……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私からは、中小企業の位置づけとでも申しますか、あるいは今後の見通しにおいての中小企業のあり方、これをお尋ねのようでございました。その他各般にわたってのお尋ねでございますが、それらは各大臣の答弁に譲らしていただきまして、私はただいま申し上げるような点でお答えしたいと思います。 永井君の御指摘にもありましたように、わが国の中小企業は、数の上におきまして、わが国の産業の九九・四%だ。その大部分を占めておる。しかも、輸出あるいはその他の産業の面において果たしておる仕事量、これはまたたいへんなものでございます。しかし、最近におきまして、いわゆる労働力……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ただいまもお話がありましたように、総合エネルギー調査会が政府に答申したこと、これはもう御承知のとおりであります。私は、この総合エネルギー調査会の答申は、わが国のエネルギー政策の方向を示すものだ、かように思っておりますので、この線に沿いまして、長期的また総合的観点に立ってのエネルギー政策を遂行していくつもりでございます。 その点から、あるいは、この際動力省を設置したらどうかというようなお話も出ておりますし、あるいは、基本法をつくったらどうかというようなお話もございますが、私は、ただいまのところは、この調査会の答申の線に沿って政策を進めていく、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 河野君にお答えいたします。 私は国民福祉の向上、これは私の政治に課せられた一つの大きな柱だ、かように思って、そうして社会保障の充実をはかっておるのであります。 ただいま、私が貧乏人は死ねと言った、こういうお話でありましたが、さようなことを言った覚えはございません。河野君は良識の人でありますだけに、こういう話をされると、国民の間で、河野君のような良識の人がこういうことを言うといって、あるいはそれを真実にされる方もあろうかと思いますので、これは私が抗議を申し上げておきます。 それで、ただいま申し上げますように、国民福祉の向上をはかる、こういう意味から、社会保障の……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 福祉国家の建設は、私ども政治家に課せられた大きな課題だと思っております。私は、与党の協力のもとに、御承知のように社会開発を進めておりますが、この社会開発は、私が申し上げるまでもなく、社会保障制度、これを充実強化する、これがその中心をなすのであります。ことに、ただいまもお話がありましたが、この社会保障制度の充実強化は柱でございますが、その意味におきまして、医療保険の制度、これと真剣に取り組むつもりであります。 ただいま御指摘ありましたように、今日わが国の医療保険制度につきましては、もう根本的な改革を行なうべき時期にきておると思います。そういう……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 決算の重要性、これはただいま仰せになりましたとおりでございまして、私ども政府もさように考えております。そこで、決算を重視する、そういう態度でありますのは、決算の重要性からきておるのであります。 ただいまるるお話しになりましたが、その立場に立ちまして、決算に出されます説明、これが十分用を足さない、こういうような御指摘であります。私が申し上げるまでもなく、決算は、予算執行にあたりまして十分その目的を達しておるか、あるいは効率的な運用が行なわれたか、こういうようなことを事後になりまして調べるのでありますが、これは、申すまでもなく、計数的な記録やあ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 現状をいかに見るか、こういうお尋ねでございますが、お話にもありましたように、最近十数年来の経済の異常なる発展、これは国民に繁栄をもたらした、確かにそのとおりであります。また、各国から、たいへんすばらしい発展だ、かようにいわれております。その結果、都市集中化が行なわれ、産業の過大集中が行なわれた、そこでいろいろな問題が起きてきたのでございます。いわゆる公害に対するいろいろの意見がそこで出てきた。私がかねてから申しております社会開発の必要も、かような状態で最も必要なことがわかるわけであります。私は、しばしば、人間尊重、社会開発、こういうことを政治……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 選挙制度審議会から答申が出まして、もう相当の期間たちました今日、政治資金規正法改正案がまだ国会に提案することができませんこと、まことに私遺憾に思っております。この点ではぜひ御了承を得たいと思います。しかし、もうこの問題もたいへん長くなっておりますので、できるだけ早く、来週中にも必ず提案できるようにいたしたい、かように考えておりますので、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。 次に、この内容の問題でありますが、これは私が申し上げるまでもなく、選挙制度審議会設置法、この法律の第三条には、他の審議会に書いてないような書き方がいたしてあり……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず最初にお断わりしておきますが、大出君は、社会党の立場から自衛隊に絶対反対だ、こういうことを言われながらいろいろ質問されました。したがいまして、なかなか意見は一致しにくい。私が説得力が足りないのじゃなくて、ただいま言われるような前提に立っておられる。そういう立場でお聞き取りをいただきたいと思います。(拍手) そこで、私はしばしば申し上げておりますように、わが国の安全を確保するということが、私に課せられた政治の大きな課題である、そういう立場から、わが国の安全はいかにして確保するか、この立場でものごとを考えております。そうして、社会党の賛成は……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 民主主義のもとにおきましては、お説のとおり、法律を守ることが絶対に必要であります。また、三権分立の原則、これも守らなければなりません。 ただいま、私のとりました処置は、行政事件訴訟法二十七条、法律に基づいてとった処置でございます。裁判官もまた第二十五条によって処置をいたし、私は二十七条によって処置いたしたのでございます。これは抽象的でございますが、この原則はぜひ守っていただきたい。 そこで、具体的に土曜日ではあまりたいしたことはないじゃないか、委員会も開かれず、本会議もない、また、月曜日もたいしたことはないのだ、そういう際のデモだからこれ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 只松君から三十八年以来のわが国の経済の動向について詳細な御報告がございました。しばしば議論されるところでありますが、いわゆる高度経済成長、これは、それなりにちゃんと目的を達したと私は確信しております。私が政局を担当するようになりまして、そのときの最も大きな課題は、いわゆる不況克服と同時に物価の安定である、今日さように考えております。この不況克服は、私どもの財政政策、金融政策よろしきを得まして、これが克服できました。(拍手)今日のようなりっぱな経済状態ができたのでございます。(打手) 私は、その中心をなすものがいわゆる公債発行政策であった、か……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 お話のうちにもありましたように、ただいまお尋ねになりました山田君と私は、同じ町の出身でございます。私の考え方は十分山田君も御承知のことだと思いますが、そのお話のうちに、私が勤労者を軽べつしておるとか、あるいはべっ視しておるとか、あるいは勤労自身を軽べつしておると、こういうようなお話がございましたが、同じ町の出身でありながら、かようなことを言われること、私はまことに残念に思います。(拍手)私は、絶えず、勤労こそこの世の中をよくするものだ、かように考えておりますし、勤労階級、その働きを絶えず高く評価しておるその一人でございます。どうか誤解のないよ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 御指摘のように、私ども政治家に課せられた今日の課題は、どうして議会制民主政治を守り抜くか、また、政党政治に対する国民の信頼を高めるか、こういう点にあると思います。これはお説のとおりであります。そういう観点に立ちまして、すでに選挙制度審議会におきまして種々審議を続けられておるのであります。その問題は、御指摘になりましたように、選挙区制の問題、選挙運動の方法、あるいはまた政治資金の問題さらには参議院選挙のあり方等々、いろいろ検討しなければならない問題があるのでございます。しかし、御承知のように、選挙制度審議会ができまして、第一回以来、この政治資金……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私の次に計画しております東南アジア諸国訪問について、いろいろ問題を提供しておるかのような御意見がただいまございました。勝間田君の意見を中心にしてのお尋ねでございます。 私はしばしばこの席でも申しましたように、わが国の外交基本方針、これは申すまでもなく、私どもは自由を守り、平和に徹する、そうして国際友好親善関係を深める、これが私の基本的方針でございます。(拍手)この立場に立ちまして、今回の訪問では、私がアジアに対する理解と認識を一そう深める、そのために訪問をし、それぞれの政府の当局と話し合う、これがアジアの平和と繁栄のために絶対に必要だ、かよ……
○国務大臣(佐藤榮作君) 増岡君にお答えいたします。 私は、増岡君の御意見を私の席から謹聴いたしておりましたが、久しぶりに現実に即した建設的な意見を聞きまして、たいへんうれしく思いました。(拍手) 増岡君はすでに御承知のことだと思いますが、わが国で最低賃金法を制定いたしましたのが三十四年、それ以来今日までに、国内の賃金はほぼ倍額になっております。私は、この点でただいまの最低賃金法もずいぶん大きな役割りを果たしておると思います。また、賃金ばかりではありません。労働条件等の改善につきましても非常な貢献があったと思います。しかし、御指摘にありましたように、わが国で一番困っておる問題は、いわゆる産……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 御承知のように、農政の目標、これは申すまでもなく生産性の高い農業を確立して、そして国内の食糧自給度を維持する、同時にまた、農業従事者の生活向上をはかる、これが農政に課せられた使命だ、かように私は考えております。 ところで、農業基本法ができまして以来いろいろ各方面において努力されました。その結果、プラスの面もありますが、御指摘になりましたようにマイナスの面もございます。このプラスの面は、私が申し上げるまでもなく、機械化や近代化が進んだことであります。人間の労働が機械労働にかわった、こういう点は見のがすことはできません。また、専業農家もやはりそ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私が出かけたのは、隣の国の大統領の就任式でございます。しかも、たいへん短い期間でございます。土曜、日曜、月曜、これで国会の審議や国政の審議に支障があると私は思いません。むしろ、隣の国の大統領の就任式に出かけることは、万障繰り合わせて出かける、こういう意味で、善隣友好外交の実をあげた、かように私は考えております。(拍手) また、ただいま、私は招かれざる客ではなかったかということでありますが、たいへん韓国政府からは丁重な招待をいただいたのであります。韓国政府ばかりではありません。ソウルの市民もたいへん平穏に、また、私が不愉快を感ずるようなことは……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 武部君にお答えいたします。 申すまでもなく、近代国民生活、これと郵政事業、これは切り離すことができない。この点はお説のうちにもその公共性を主張しておられる、そこでよくわかると思います。私はこの点に思いをいたし、国家の提供するサービスは普及しなければならない。これが特定の地区だけあるいは都会だけ、さようなところに集中してはいけない。いなかであろうがどんなところに住んでおろうが、国民はひとしくこの恩恵を受ける、こういうことでありたいと思います。したがいまして、二十四年に簡易郵便局制度を設けて、地方公共団体、さらにまた協同組合等でこの郵便業務を受託する、こういう制度を……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 都市計画法案の諸点についてのお尋ねでございます。私から基本的な考え方をお答えいたしまして、その他は所管大臣に譲りたいと思います。 御承知のように、国土の均衡ある発展をはかることは、政府、また政治に、私どもに課せられた重大なる使命でございます。そういう意味で、この均衡ある発展をいろいろ諸施策とともにはかってまいっておりますが、最近の都市化の傾向、これはたいへん急速にその方向に進んでおります。したがいまして、御指摘にありましたような過疎地帯もできておるわけであります。過密対策、過疎対策、これは二つとも同時にやらなければならないのであります。ただいま御提案いたしており……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします前に、今回の災害に際しましてなくなられた方に対し、心から哀悼の意を表し、同時にまた、被災者各位に対しましてお見舞いを申し上げます。(拍手) ただいま細田君からお尋ねがございましたが、政府の政治的な姿勢といたしましては、災害から、国土、さらにまた、国民の生命、財産を守る、これが基本的な姿勢でございます。 そこで、ただいま災害についてお話がございましたが、すでに災害対策基本法ができております。これに基づきまして、政府は防災計画を策定し、同時に各種の長期計画を立てておるわけであります。もちろん、長期計画を立てておりますが、今次の災害等から、さらにこれ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 伊賀君にお答えいたします。 林業の現状についての認識は、私も伊賀君が見るところと意見が一致するものが非常に多いのでございます。 そこで、御指摘になりましたように、過疎対策としても、同時にまた、防災の見地からも、国土の総合利用計画を策定すべきではないかというお考えには、私もその必要を痛感するものであります。できるだけ早目に総合的な検討を施して、この総合利用計画を立てるべきだと、かように思っております。しかし、各産業部門に対する適正な土地の配分であるとか、なかなかむずかしい問題もございます。今日までそれができ上がっておりません。今後一そう努力するつもりであります。……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 内藤君にお答えいたします。順序はお尋ねのとおりではございませんが、私一応整理したところでお答えいたします。 まず第一は、観光行政の一元化の問題であります。御指摘のように、十七省庁、三十五部局にわたっておる、そういう観光の仕事でございます。これを各省のうちから観光行政というものが抽出できるかというと、これはできない状況でございます。したがいまして、私は、これを一元化するという行政の一元化、これはいろいろ考えてはみますが、なかなかむずかしいことだ、かように思います。 そこで、そのかわりといたしまして、連絡を密にし、そうして協力関係を打ち立てるために、ただいま観光対……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 臨時国会が開かれるにあたり、所信の一端を明らかにいたしたいと存じます。 真の平和の永続的な維持は、世界人類の理想であり、日本国民の最大の願望であります。平和こそ不変の国是であり、長い将来にわたる民族繁栄のいしずえであります。(拍手) しかるに、ベトナムにおいては、関係各国の再三の和平への努力にもかかわらず、いまだ平和解決のきざしの見えないことは、まことに残念であります。長期にわたる戦争によって、とうとい人命の損失はもとより、一つの民族文明が破壊されつつあることは、同じアジアの一員として座視できない思いであります。(拍手)私は、ここにあらためて、紛争当事者に対し……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 沖繩問題についてのお尋ねでございますが、琉球新報の調査をまつまでもなく、沖繩百万の同胞、これは祖国復帰を心から願っております。また、沖繩同胞ばかりでなく、日本国民の念願でもあります。しかし、この事柄は、同時に、ただいま沖繩が極東の安全保障において果たしておる役割り、これも私どもは無視はできないのでございます。(発言する者あり)いままで絶えず同じことを言うておると言われますが、そのとおりでありますから、これは別に変えるわけにはまいりません。(拍手)私は、今秋アメリカに参ります際に、日米間の最も重大な問題でございます沖繩復帰の問題について話し合う……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず第一は、私のかねての主張と、今回の健康保険特例法案を提出したことは矛盾するのではないか、こういうお尋ねでございます。私は、私自身の今回の行動に矛盾を感じないものでございます。 さらに、その説明をつけ加えてみたいと思いますが、河野君は、ただいまの医療保険制度、これが保険制度であることはお認めだと思います。しかし、広義の社会保障の一環であること、一つの柱であること、これも認められると思います。したがいまして、いわゆる福祉国家を建設しようとするかねての私どもの政治的主張と、今回のこの特例法案を提出したこととは別に矛盾はないのであります。申すま……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 伏木君にお答えいたします。 御指摘になるまでもなく、議会制民主主義、この民主政治を守り抜く、この立場で私もこれまでいろいろ苦い経験をなめてまいりました。このたびの国会運営につき、また委員会運営につき、それぞれの御批判があることだと思います。一日も早く国会の正常化をはかって、そうして国民の期待に沿うようにいたさなければならないと思います。公明党、民主社会党、自民党、この三党が申し合わせをいたしましたのも、ただいま申し上げるような点に沿ってでございます。この申し合わせをいまさら読み上げるまでもないことでございますが、近く国会法を改正して、そうして議長によりまして不適……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第五十七回国会に臨み、わが国が当面する内外の諸問題につき私の所信を述べ、国民各位の理解と協力をお願いいたしたいと存じます。 私は、先般東南アジア、大洋州諸国を歴訪し、さらに米国を訪問して、それぞれの国の首脳とひざを交えて率直な意見の交換をいたしました。これらの会談を通じて、わが国に対する各国の理解を深め、同時に国際的重要問題の所在を明らかにし得たことは、きわめて有意義であったと信じます。(拍手) 特に、東南アジアの諸国が社会的、経済的基盤を異にし、また、それぞれ独自の政治的立場をとりつつも、民族の尊厳維持と真の独立達成のため真剣な努力を重ね、同時に新しい連帯感……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) ただいま勝間田君から、私に反省を求められ、同時にまた、私のやり方が非民主的だと、こう言って、その態度も非難されました。私は、私の席におきまして静かに謹聴し、御意見を謙虚に伺ったのであります。しかし、その間には幾多の誤解もあり、また、十分理解もしていただけない点があるようでありますから、この際にお答えをいたします。 私は、まず、総理といたしまして一番の責任は一体何か。それは申すまでもなく、わが国の安全をいかにして確保していくべきか、これが私の責任でもあり、同時に、総理として私に課せられた義務である、かように感じております。(拍手)また、日本の安全は、アジアの平和と……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。 今日までの経済の歩み、ことに戦後の歩みを見ましたとき、私は、わが自由民主党のとってきたその政策そのものが誤りでなかった、かように確信をしております。(拍手)御承知のように、戦後社会党が中心で政権を担当した際もございます。しかし、その際は一体どうであったか。その後引き続いてわが自由民主党が政権をとってから、ただいまは世界第三の工業国になりつつある、かような批判すら実は聞くのであります。すばらしい発展を遂げておる。それはわが党の自由経済、それこそが、統制経済に反しての自由経済こそが、との成果をおさめたと思います。もちろん、ただいま御指摘になりま……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私は、申すまでもなく行政府の長でございますが、その意味におきまして、公務員にもちろん適正なる給与が支給されることを望み、またそれを確保する責任がございます。国民一般に対する国民の生活を確保することも、私の責任でありますが、同時に、ただいま申すように、行政府の長としてのその責任も、ただいま山本君から御指摘になったとおりであります。 ところで、私は、公務員一人一人もやはり全体の奉仕者だということをよく考えていただきたいと思います。さように考えますと、いわゆる団体交渉などでこの給与がきまるべき筋のものではない。これでただいまお話のありましたような……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第五十八回国会に臨み、当面する内外の諸問題について、私の所信を明らかにしたいと存じます。 わが国はことしで明治改元百年を迎えました。国民各位とともに、明治の輝かしい経営のあとをしのび、国家民族の長い将来にわたる発展のため努力する決意を新たにしたいと思います。 明治維新は封建時代から近代への一大転換でありました。東洋の一小国であった日本は、ほぼ半世紀の間に世界的な国家に成長いたしました。当時、諸外国との友好を深め、進んで西欧文明を取り入れ、近代国家としての基盤を確立した国民の気概と活力、指導者の識見と勇断に深い尊敬の念を禁じ得ません。(拍手) 自来一世紀、われ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 江田君にお答えいたします。 私の演説に対する御批判と、並びに御意見を詳細に述べられました。私がお答えを必要としない面もあるようであります。それらの点を勘案いたしまして、私がお答えしなければならないと、かように感じました点をお答えいたしたいと思います。 まず第一、日米協力関係ということについて御批判がございました。私はもうすでに御承知のことだと思いますが、日本は、戦争に負けてからいわゆる平和国家として出発いたしました。他国に対して脅威を与えない、また、攻撃的な兵器も持たない、いわゆる平和国家として日本は世界において主要なる地位を占めたい、これが私どもの念願であり……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 八木君にお答えいたします。 たいへん広範なお尋ねでございますが、私からは二、三の点についてお答えをいたしまして、他は所管大臣の説明に譲ります。御了承いただきたいと思います。 四十二年度の経済見通しの問題でありますが、この見通しが狂った、かように仰せられます。しかし、私どもは、四十二年の経済見通しを立てました際に、大体実質成長率を九%にしよう、しかし、たいへん現時の経済情勢はむずかしい状態で、きびしい状態だ、したがいまして、この経済基調の変化というものに絶えず注意して、途中におきましても必要なる対策は立てよう、かように申してまいりました。したがいまして、御承知の……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 世論、大衆の意見に十分耳をかすかどうか、まず第一のお尋ねでございます。ただいま民主政治の世の中でございます。この時期に政治を担当する者が国民の意見を聞く、これは当然のことであります。御承知のように、今回の予算につきましても、所得税の減税についてはたいへんな支持を得ております。また同時に一面において、たばこその他の点で値上げをせざるを得ないやむを得ない事情も国民はよく承知をしていただいております。 次に、私は、さらにお答えをいたしますが、佐藤内閣は物価の問題を最大の課題として取り組んでまいっております。十分その効果があがらないといって社会党の……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 細谷君にお答えいたします。 大蔵大臣あるいは自治大臣、その他の答弁と重複しないように、特に名ざしをされました点についてお答えをしたい。 御承知のように、四十三年度の地方財政はたいへん明るい感じが持たれる、かようにいわれております。これは申すまでもなく、地方税並びに交付税の自然増収の結果であります。したがって、かような状態がいつまでも続くとは思いません。今日は、こういう際にこそ一そう地方財政の健全化について努力すべき状態だ、かように私も考えております。 ところで、地方の財源と国の財源、その関係についての言及がございました。同時に、国の仕事と地方の仕事というもの……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 武部君にお答えいたします。 お説のように、臨調の答申というものは行政各般にわたっておりますし、またその中身はずいぶん基本的な問題も含んでおります。したがいまして、この答申の趣旨には政府はもちろん異存はございませんけれども、これを実現いたしますためには、相当の時日を要することは当然でございますので、いましばらく時間をかしていただきたい、かように思います。今後の行政諸施策の上に十分答申の線を取り入れまして、これの実現をはかっていく考えでございます。また、行政監理委員会の意見も答申の内容と一致しておりますので、ただいま行政管理庁におきまして、行政改革三年計画の作成に当……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 島本君にお答えいたします。 物価安定、これは政府の重要施策、重要課題でございます。したがいまして、ただいまお読みになりましたとおり、私を中心にして、関係大臣が一体となって有効適切な対策を講ずる、これにつきましては、何ら変わりはございません。 四十三年度予算編成にあたりまして、一部公共料金等の値上げを計画いたしました。これらのものは、申すまでもなくいろいろの御批判はありますが、財政体質の改善、これを念頭に置きまして、やむを得ざる値上げを計画いたしたのであります。その場合におきましても、できるだけその値上げ幅を小さくするとか、あるいは同時に、大衆の負担、これについ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 珍しく格調の高い質問演説を聞きまして、私も……。(拍手) そこで、ただいま御意見を交えてお尋ねがございました。国会こそは、国権の最高機関として、政治の責任を国民に対して負っているところだと思います。政府の姿勢が悪いから国会の審議を放棄するとか、こういうものであってはならないと思います。私は、どこまでも国民のために国会の審議を真剣に続けられることが、それこそ民主政治下における議員諸君のつとめでもあろうかと、かように思います。(拍手)もちろん、ただいま述べられましたように、政府の政策が意に満たない点があるならば、それこそ国会の審議を通じて国民に明らかにしていただきた……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山田君にお答えいたします。 山田君はみずからが被爆者であられ、したがいまして、原爆被爆者に対しての理解と同情は他の人より以上に深いものがある、かように思います。ただいまの質疑を通してのお話にも、その点が節々にあらわれておりまして、私はたいへん感動いたしたものであります。そうして、ようやく今回、各党の申し合わせにより、原爆被爆者特別措置法案を提出することになりました。この点では、お話しになりましたように、おそきには失したが、この際出ましたことは、これは前進である、かように考えております。 これは私が申し上げるまでもなく、衆参両院における決議なり、また各党が話し合……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) ジョンソン政権の課題は、私がこの機会に申すまでもなく、偉大な社会の建設とベトナム問題の解決にありました。したがいまして、ジョンソン大統領は、大統領就任以来五十数カ月、世界で最も責任の重い大統領として、世界平和の維持に心魂を傾けてきたことは世界周知のことであります。去る三月三十一日のジョンソンの演説は、ジョンソン大統領のベトナム和平にかける情熱のあらわれとして、私も、大平君同様、その決断に深い感銘を覚えたものであります。(拍手) 私は、御承知のように、昭和四十年一月、また昨年十一月、二度にわたってジョンソン大統領と会見して、ジョンソン大統領の、アジアのみならず、国……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 中谷君にお答えいたします。 沖繩問題と取り組んでおる基本態度、これは私しばしば申し上げましたように、もうそこには何ら重ねて申し上げるものもないように思いますが、私が昨年ワシントンを訪問いたしまして、そうして共同コミュニケを発表いたしました。そして、その際に、今後両国政府は沖繩返還について継続的に協議を遂げる、こういうことを実は申してまいりました。したがいまして、もうこの問題について多くを申し上げません。その際に、ただ、いま直ちに返還ができるわけではない、本土と沖繩との間には、制度上におきましても、その他の面においても、相当の格差がある。今日から、祖国復帰が実現す……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 渡辺君にお答えいたします。 新空港の位置を決定することは、御指摘のとおり、まことに重大な事柄でございます。したがいまして、この新空港、このこと自身が国家的な要請であると同時に、この決定をすることは、そう軽率であってはならない、かように思います。したがいまして、慎重にこの決定と取り組んだのでございます。したがいまして、ただいまお話のありましたとおり、知事と相談することももちろんでありますが、数回説明会を開いて、そうして地元住民の理解と協力を求めてまいったのであります。私は、それらの点におきまして、十分努力した、かように確信しております。その点では別に落ち度はない、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 佐野君にお答えいたします。 わが国は先進工業国の一つといたしまして、従来から、発展途上国の経済的発展、経済的繁栄、これが世界の平和と繁栄に不可欠なものである、かような立場、その見地から、わが国はわが国の役割りを果たしてきた、かように私どもは考えております。したがいまして、今後とも、この観点に立ちまして経済協力を行なっていく考えでございます。 また、ただいまアメリカからわが国が安全保障を受けているから、その意味の代償として経済協力をしているのじゃないか、あるいはまた、アメリカの要請によって日本は経済協力をするのじゃないか、こういうようなお話でございますが、そのい……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 美濃君の御意見拝聴いたしましたが、私に対するお尋ねは、高度経済成長下における農業をいかに見るか、こういうことでございます。 お答えをいたします。御指摘になりましたように、高度経済成長下におきまして、農業はこれについていけない、おくれておる、そういうことで、御指摘になりましたよらな幾多の欠陥を実はあらわしております。もともと、古来から農は国本だ、かようにいわれております。今日におきましてもやはり農は国のもとであります。したがいまして、この農業を、経済成長におくれをとらないよう各種の改善をはかっていくこと、これが、かつての農業基本法、皆さま方が御制定になりました農業……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 木原君にお答えいたします。 国防の基本政策を変える考えはないかというお尋ねでございますが、御承知のように、わが国の基本政策は、日米安保体制のもとにおきまして、わが国も、みずからの国力、国情に応じ、有効な防衛力を整備いたしまして、侵略を未然に防止して、わが国の安全を確保するという考え方でございます。したがいまして、この考え方をただいま検討、さらに変えるというような考え方はございません。また、ベトナムに和平がまいりまして――ジョンソン大統領の声明があった、そういうことがありましても、今日、私どもはこの基本的な考え方を変えるつもりはございません。 ベトナムの和平につ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 民族精神の高揚が国民生活を圧迫する、こう言われますが、私にはその論理がよくわかりません。私は、民族を愛し、祖国を思い、祖国を守り、祖国に尽くすということを説いてまいっております。(拍手)国民生活を圧迫するというようなものではございません。同時にまた、私は、しばしば独立、自主、これを唱えております。そうして、独立の気概を持てと国民に呼びかけております。「独立心なき者は国を思うこと深切ならず」、これは福澤先生の喝破されたことばであります。(拍手)このことばが中共敵視政策につながる、そういう論理も、頭が悪いのか私にはわかりません。 次に、明治百年……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山口君にお答えいたします。 去る四十一年三月に社会党から、この地方公務員の定年制についての申し入れ、これは確かにございました。そのとおりの経過でございます。しかし、政府自身は、この定年制を考える場合に、いわゆる公務員制度審議会にかけなければならない事項、かようには考えておりません。このたび、政府の責任におきまして、この法案を提案いたしておりますから、どうか十分委員会等におきまして論議を尽くしていただきたい、かようにお願いをいたします。 そうしてこれは、私が申し上げるまでもなく、地方公共団体の人事管理の適正化のために定年制を設けることができるようにするという、ま……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私並びにわが自由民主党に対していろいろ御批判いただきましたが、しかし、私並びにわが自由民主党は、国民のために政治に真剣に取り組んでおるのでありまして、国民大多数の方はこれをよく理解し、私どもはその支持を得ておる、かように思いますので、この機会にはっきり態度を申し上げておきます。(拍手) 政治資金の問題は、これは政治の枝葉末節の問題ではございません。これこそは政治の基本的姿勢につながるものでございます。そういう意味で、私はこの政治資金の問題と真剣に取り組むつもりであります。かような意味から、前国会におきましても、この政治資金規正法案を提案いた……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 柴田君にお答えいたします。 私へのお尋ねは、林業の基本政策、これが第一点、第二点は国有林野の活用の問題でございました。 御承知のように、経済の発展に伴いまして、最近は木材の需要が急激に増大してまいりました。わが国の林業の状態は奥地林道の不足、さらにまた労働力の不足等から、この需要に十分こたえることができない。そのために外材を輸入する、かような状態になっております。それは御指摘のとおりであります。そこで、私どもはこの際、林業基本法の定むるところに従いまして、さらにその施策を強力に遂行していく必要があるのであります。申すまでもなく、林業基本法では、その生産政策、構……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 地方自治体の健全な育成、これこそは民主主義の要諦だ、かように私は考えております。そこで、地方自治体を中央政府の出先機関として扱って、いわゆる中央集権的な行政をしたり、あるいはまた住民に対して押しつけ的な行政をするようなことは避けなければなりません。こういう意味において私は今後とも努力をするつもりでございます。 そこで、(「三多摩発言はどこへ行った」と呼ぶ者あり)三多摩発言はどこへ行ったというようなお話が出ておりますが、私はこの機会に申し上げたい。政党政治の要諦は国民の期待に沿うことであります。私どもが多数を中央において持つ以上、国民は私ども……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私は、政界の浄化の理想を捨てたわけではございません。今日も一貫して、政界の浄化を、また選挙の粛正をはからなければならない、これこそは真の、正しい民主政治を確立するものだ、かように私はいまなお考えております。しかし、この政界の浄化は、ただ政治資金規正のみによって達せられるものではございません。御承知のように、政界の浄化をはからんとすれば、まず、この政治資金の規正の問題もありますが、選挙制度の仕組みや政党活動の実際、同時に国民の政治意識の問題があるわけで、あります。これらと関連を持ちまして、一歩一歩着実に政界浄化の方向に進まなければならないのであります。小松君自身も、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 小宮山君にただいまの質問に対してお答えする前に、私は、まず、田中大臣から御報告いたしました十勝沖地震の被害につきまして、今回多大の被害を生じ、また犠牲者の出られたことに対しまして、心からお見舞いを申し上げます。 被害の状況等につきましては、先ほどの総務長官から報告があったとおりでありますが、被害の規模等にかんがみ、政府としても万全の措置を講じてまいる考えでございます。(拍手) 次に、ただいまの小宮山君の質問に対し、私に対する一点だけなお答えをいたします。 佐世保に異常放射能が検出されましたこと。この原因は何によるものか、さらにさらに検討を必要といたします。こ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 今回の十勝沖地震は、その震度といい、また影響を与えた地域といい、まことに広大でございまして、したがいまして、各地におきまして、私どもの予想を上回るようなそれぞれの損害を発生しております。 私は、昨日もこの席上をかりまして罹災地の皆さま方にお見舞いを申し上げましたが、まずこの際も、だんだん調査が進んで実情がわかるにつけまして、多数の生命を奪われた、犠牲者を出したこと、まことに私残念に思っております。この機会に、つつしんでこれらの方々の御冥福をお祈りいたしますと同時に、多数の家屋の倒壊あるいは火災によって家屋を喪失し、また負傷者を生じました事柄……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 井上君にお答えいたします。 私は、国会答弁はいつも誠意をもって真剣に答えておるつもりでございます。これはいつも国民を相手にいたしておるのでありますから、国民はよく私の態度を承知してくれている、理解してくれている、かように考えております。 ところで、ただいま観光行政についてのいろいろの御意見を述べられました。私は、観光行政のこれからその重要性を増すことについては、井上君と同じ認識に立っております。したがいまして、この観光行政をさらに積極的に進めなければならないということ、これは私も同様でございます。しかしながら、予算その他の制約等を受けまして、なかなか思うように……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第五十九回臨時国会が開かれるにあたり、所信の一端を申し述べたいと思います。 このたびの参議院議員通常選挙において、高い投票率が示されたことは、国民の政治に対する関心の高まりと、議会制民主主義に対する信頼のあらわれであり、政治に携わる者は、ひとしくこのような国民の期待にこたえるよう、一そうの努力を傾けなければならないと存じます。 私は、この選挙を通じて、政府並びに自由民主党の政策が国民大多数の支持と理解を得たものと確信し、その責務の重大さを思い、心を新たにして政局を担当する決意であります。(拍手) 私は、この選挙期間中、数多くの人々に直接わが党の政策と政治的信……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 三宅君にお答えいたします。 われわれ日本国民は、世界における唯一の被爆国民として、核兵器のもたらす悲惨な経験から、核兵器はつくらない、持たない、持ち込ませないという原則を国民の総意としてきめております。また、この基本方針のもとに、世界じゅうの核兵器が絶滅されることを念願しており、国際間の現実から見て、当面実行可能なところから核兵器の国際的規制や管理を行ない、核軍縮を実現するよう最善の努力を払っている事実は、国民各位の御理解と強い支持を得ているものと私は確信しております。(拍手) しかしながら、戦後二十数年にして世界第三位の先進工業国としての地位を占めるに至った……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第六十回臨時国会が開かれるにあたり、所信の一端を申し述べたいと思います。 世界は、いま多くの分野で転換期を迎えていますが、特にわが国は、社会構造の急激な変化に伴って、大学問題をはじめ、数々の困難な問題に直面しております。これらは、いずれも、わが国近代化百年の歴史の中で、われわれが初めて当面した新しい試練であります。これを乗り越えて、十年先、二十年先、さらに二十一世紀へ向かって賢明に対処することこそ、政治の使命であると確信いたします。(拍手)私は、国民各位の御協力を得つつ、最も適切な解決をはかってまいる決意であります。 最近の国際情勢は、新たな局面を迎えつつあり……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 柳田君にお答えいたします。 私に対していろいろの御批判をいただき、同時にまた激励を賜わりましたことについて、厚く御礼を申し上げます。 私は、政局を担当いたしまして、なかなか十分の効果があがらない、そういう点については、なぜあがらないか、絶えずみずからも反省し、また、謙虚に各方面の御意見を拝聴しておるつもりであります。ことに、最近は、私が申し上げるまでもなく、たいへんむずかしい事態に当面しております。こういう際にこそ、身を粉にすることはもちろんでありますが、謙虚に各方面の御意見を伺って、そうして国政の伸展に尽くすべきが私の当然の責務だと、かように考えます。そうい……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第六十一回国会が開かれるにあたり、当面する内外の諸問題について所信を申し述べたいと思います。 教訓に富み、波乱に満ちた明治百年を終え、新しい百年に向かって第一歩を踏み出したわが国は、多くの分野で転換期を迎えつつあり、これからの数年間はきわめて大切な時期であると考えます。時代の流れを的確に把握し、誤りなく歩を進めることこそ、現代に生きるわれわれの使命であります。工業生産力において世界第三位を占めるに至ったわが民族の活力は、さらに豊かな未来を創造する可能性を十分に持っております。人間の尊厳と自由が守られ、国民のすべてが繁栄する社会を実現するとともに、国際的信頼にこた……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 成田社会党委員長にお答えをいたします。 あなたと私は、いままでしばしば、衆議院本会議の席上あるいは予算委員会等で議論をかわしたものでございますが、今夜はこんな深夜、しかも初めての党首として、ただいま御意見を発表されながら、私に対するお尋ねがございました。 私もさような意味で、実はただいまの御質問について、たいへん緊張して拝聴いたしたのでございます。しかしながら、残念ながら多くの点におきまして意見を異にするといわざるを得ないのであります。(拍手)特に、国家の基本的命題である安全保障問題につきましては、基本的な認識を異にしているということは、国民の皆さんに対しまし……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 丹羽君にお答えいたします。また、私からは二点ばかりお答えいたしまして、他は大蔵大臣に譲りたいと思います。 特殊法人の統廃合につきましては、昨年郵便募金管理会ほか三法人を整理いたしましたが、今国会では糸価安定特別会計を廃止して、日本蚕糸事業団との機能を一元化するため、法律案を提出する予定であります。 また、今後具体的な日程にのぼっているものとしては、漁業協同組合整備基金ほか二法人の整理を予定しております。 今後も社会、経済情勢の推移に応じ、必要なものがあれば統廃合を進めるとともに、その事業運営についても、すべてが非能率、不満足とは考えませんが、不十分なものにつ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 野間君にお答えいたします。 答弁の順序についても御注文がございましたが、ただいま指名がありましたので、一括して私お答えいたします。御了承いただきたいと思います。 来年度の物価の上昇は五%の範囲内にとめるよう、政府としては最善の努力を払う所存であり、この場合、国鉄運賃の引き上げによる消費者物価への影響は〇・二%程度と考えられております。ただいま御指摘になったとおりであります。そこで、便乗値上げさえ誘発しなければ、国鉄運賃の値上げが物価対策を破綻させるようなことにはならない、かように考えております。 第二に、そういう意味合いで、便乗値上げは極力認めないという方針……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず、財政硬直化打開の声が陰をひそめているではないか、かようなお話でございますが、決してそのようなことはありません。国債の依存度の引き下げや、両米価の据え置き方針の強い決意などをごらんいただけば、政府が相変わらずこの問題と取り組んでいるその姿勢がおわかりだと思います。 次に、自然増収は減税優先にと、こういうように主張されましたが、政府といたしましては、ただいま借金をしておる、その意味で、国債の発行額がなお相当額にのぼっております現在としては、何をおいても国債の依存度を引き下げることが財政体質の改善のために望ましいものである、かように考えてお……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私は、近代的な農業の達成のためには、何といっても農業が自立できる、いわゆる自立経営農家をできるだけ育成していくことが大切であると、かように考えております。このところ、自立経営農家の比重が少しずつではありますが高まってきておりますことは、そういう意味で歓迎すべきことと考えております。 しからば兼業農家はどうなってもよいのか、あるいは積極的に減らしていくのか、かように申しますと、やはり兼業農家が数多く存在しているという現実は、これは無視するわけにはまいりません。また、現在の段階では、積極的な離農への施策を進めるということは、必ずしも適当でないと……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 島上君にお答えいたします。 まず、政府の住宅建設五カ年計画につきましていろいろ御批判があったのでありますが、当初見込んだ建設計画の戸数につきましては、御指摘にもありましたように、おおむね計画の線に従って順調に進捗しております。政府は、その目的の達成のために、なお一段と努力する決意であります。しかしながら、国民の生活水準が向上するにつれて、国民の住宅に対する希望は、必要な量の確保とともに質の向上という点に向けられております。また、御指摘になりましたように、都市への人口集中、これは単に労働人口の移動ばかりではありません。全人口の集中によりまして、国民の住宅に対する需……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 松前君が三党を代表して質問された各項目につきまして、私から二、三の点についてお答えし、その他はそれぞれ所管大臣からお答えすることにいたしたいと思います。 まず第一は、宇宙開発はわが国としても強力に推進してまいる考えでございますが、その推進にあたっては、従来たびたび明言しておりますとおり、平和目的に徹してこれを行なう所存であります。このように宇宙開発を平和目的に徹して行なうにあたっては、松前君が御指摘のとおり、原子力の場合と同様の三原則に立ち、その原則を含む宇宙開発基本法を制定すべきであるとの考え方には、私も基本的には同感であります。ただし、基本法制定にあたりまし……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私から基本的なものの考え方を申し上げまして、その他の具体的な点については所管大臣からお答えいたします。 いままでの石炭対策は、必ずしも思うようにいかなかったことはたいへん残念であります。今回、あらためて第四次答申に基づく石炭対策としての法律案なり予算なりの御審議をいただいているのでありますが、まず、巨額の国費を投入して石炭産業の対策を進めていこうとする政府の熱意のほどをおくみ取りいただきたいと思います。 この第四次対策が従来と同じやり方ではないかとのお尋ねでありますが、私はさようには思いません。従来の足らざるところを補い、さらに、積極的にその対策を進めていこう……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 八木君にお答えいたします。 ただいま国民年金に関連して、たいへんきめこまかなお尋ねがございました。社会福祉についての八木君の御熱心さに、まず何よりも先に敬意を表しておきます。(拍手)同時に、政府といたしましても、国民福祉の向上をはかるため、社会保障の充実に引き続き一そうの努力を払う決意であることを申し上げておきます。また、こまかな点につきましては厚生大臣からお答えすることにいたしまして、私からは大綱についてお答えしたいと思います。 国民年金は、制度創設以来まだ日が浅いにもかかわらず、一応の水準まで改善をはかることができたものと思っております。厚生年金との差につ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 島本君にお答えいたします。 今回私どもが御審議いただこうという公害関連の二法は、その内容は、公害対策として全く新しいものでありますし、また四十四年度予算はたいへん少ない、こういう御批判でありますが、四十四年度予算は積極的に充実をはかったつもりでありますので、公害対策は飛躍的に充実するものと、私はかように確信しております。社会党の方が先入観で、産業優先で、公害被害に対して政府がこれをあとにしているんじゃないか、こういう考え方、これは先入観を持っておられるようですが、今回の処置は決してさようなものではございません。 また、公害対策のための七名の増員さえ認めない、こ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず、運輸委員会において強行単独採決、これは暴挙なりとの御批判でありました。私は、運輸委員会において、よく十分審議を尽くそうとされなかったのは一体どの党なのか。これは民社党がそうだと申すわけではありません。念のために、その党はいずれの党であったか、この点を十分考えていただきたいといわざるを得ないのであります。反対のためには手段を選ばず、審議を拒否する、あるいは引き延ばす、これでは議会制民主主義、これは守れません。堂々と委員会の開催に応じ、あらゆる角度から議論を展開し、最終的に、その結論に対してはいさぎよく応ずる、そういう姿勢こそ、議会制民主主……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 加藤君にお答えいたします。 まず、今回の四ツ木橋災害並びに雄別炭鉱の災害で不幸にもとうとい人命を失われた方々の御冥福をお祈りするとともに、遺家族の方々に対して心からお悔やみを申し上げます。政府といたしましては、その原因の調査につとめることはもちろんでありますが、同時に、再びこのような災害を発生しないように十分の対策を進めてまいりたい、かように存じます。 人間尊重は私の基本的政治理念でありますが、同時に、近代国家形成のための基本テーマであると確信いたしております。国民各位もこの点は特に御理解をいただき、あらゆる職場において、いやしくも人命をそこなうことのないよう……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 橋本君にお答えいたします。 最近、災害が相次いで発生し、多数のとうとい人命が失われたことは、まことに遺憾にたえません。橋本君は、不慮の事故で親を失った子供の悲しみを切々と訴えられました。災害や交通事故でとうとい人命が失われることは、当の御本人はもちろん、残された遺族にとってこんな不幸なことはありません。私がかねがね人間尊重ということを強調しているゆえんであります。進歩する社会においては、ともすれば人間の尊厳が見失われがちでありますが、いかなる場合においても人命を軽んずるようなことがあってはならないと思います。国民を事故、災害から守り、その安全を確保するため、政府……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 森君からは、林業基本法の関連立法がほとんどなされていない、かような御批判をいただいたのであります。しかし、決してさような事実はございません。すでに御承知のように、入り会い林野近代化法、山村振興法の制定をはじめとし、森林法、森林病害虫等防除法等の既存の法律改正を行なってまいりました。また、国有林野の活用に関する法律もたびたび提案しておるのでありますが、いまだに御賛同を得ていないことは、まことに残念であります。政府としては、さらに森林組合制度の改正を主眼とする森林法の改正や、森林国営保険制度の改正等を取り上げ、林業の発展と林業従事者の地位の向上の……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず、政府の都市政策の進め方についてでありますが、人口、産業の都市への集中に伴って、都市周辺部へ市街地が無秩序に拡大していくのを抑制するとともに、既成市街地については極力再開発を行なって都市機能を回復し、向上させることが都市政策の基本的課題であります。このため、昨年制定された新都市計画法と近く御審議を願う都市再開発法案の二つを軸にして、強力な都市政策を推進してまいります。また、都市の諸施設を整備する場合、関連工事の同時施行については、今後一そう努力いたしますが、特に、共同溝のように、将来にわたっての基本的な都市施設となるべきものにつきましては……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず、有本警部補の殉職に対して心から哀悼の意を表し、つつしんで弔意とお見舞いを申し上げるものであります。 さて、ただいま田村君から御指摘がありましたように、有本警部補の殉職事件は、もはや学園の自治の限界をはるかに越えたものであり、まことに憂慮すべき事態であります。同時に、学生運動自体が学生運動の範囲を越えて、誤った方向に走りつつあることを示すものであります。今日、学生運動は世界先進国の共通の悩みといわれますが、特に、わが国の場合、あらゆる既成秩序を否定する破壊主義、暴力主義が横行し、単なる教育問題にとどまらず、大きな社会問題、政治問題となっているのであります。私……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず、漁業白書が単に事実の記載のみにとどまっているとのおしかりでありました。私も、国民の漁業に対する最大の関心事は、漁業が転機にあるということを指摘することではなく、どうしたらその困難な局面を打開できるか、その点が聞きたいのだと考えております。そういう意味で、漁業の動向について生きた分析を行ない、今後の施策の方向を示すことは、漁業白書の当然の責務であり、今回の白書がこのことに全然触れておらないというのではありませんが、今後一そうその内容の充実につとめてまいります。このことをお約束したいと思います。 次に、私も、御趣旨のとおり、長期的な観点に立って水産行政を総合的……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山田君にお答えいたします。 最近の朝鮮半島における緊張の根本的原因は、北鮮の南北統一政策にあります。そうして、北鮮はこれを達成するため、平和的な手段によらず、昨年一月の大統領官邸襲撃事件及び十一月の東海岸上陸事件などに見られるごとく、大規模かつ半ば公然と武力挑発行為を行なっております。北鮮のゲリラ浸透工作の目的は、威力偵察と、韓国に対する撹乱、ゆさぶりにあると見られますが、韓国側の努力によって、いずれもいままでのところ失敗に終わっております。 今回の米軍機撃墜事件は、このような北鮮の対韓工作の行き詰まりを打開するための方策として打ち出されたとの見方もありますが……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 健康保険特例法は、二年間の時限立法として制定されたのでありますが、政府としては、この期限内に抜本対策の実現をはかるべく具体策の検討に全力を注いでまいりました。しかしながら、この問題は、きわめて広範多岐にわたるほか、根深い問題点を有しており、現在のところ、最終的な結論を得るに至っておりません。このことは、この法律の制定経緯等にかんがみ、まことに遺憾に存じます。 政府としては、さらに一そうの努力を重ね、抜本対策の早期実現を期する決意であります。これが具体的な実施に至るまでの間、当面、保険制度を維持し、国民に必要な医療を確保することがぜひとも必要と考えられますので、こ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 阿部君にお答えいたします。 今回、登録制から許可制に改めようとする理由につきましては、先ほど建設大臣から提案趣旨説明において申し上げたとおりであります。現行の登録制度では、ややもすれば起こりがちな弊害を防止しようとするものであります。中小零細業者や一人親方といえども、従来から誠実かつ適正に工事を請け負ってきた方々は十分許可を受けることができるものであり、大手業者を優遇しようという意図のものでは全くありません。この点につきましては、誤解のないように御理解をいただき、政府のあたたかい思いやりの措置をひとつ理解していただきたいと思います。 次に、建設工事は、各種の専……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私に対する質問は、沖繩復帰のめどについて話をしろというお尋ねであったと思います。 御承知のように、私は本国会の初めの施政演説で、本年の年末までの間に、適当な時期に訪米をいたしましてニクソン大統領と直接話をし、そうして沖繩復帰のめどをつける、こういう演説をいたしたものであります。私は、日米両国の相互理解と友好裏にこの話を片づけたいと思います。もちろん、その際におきましては、その返還の時期等につきましては、十分日本国民、沖繩県民の意向を踏まえて、そうしてニクソン大統領と十分懇談を遂げ、できるだけ早い時期に実現するようにいたしたいものだ、かように心がけております。(拍……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 金丸君にお答えいたします。 過密過疎対策は、経済社会の飛躍的発達のために解決しなければならない今後の大きな課題であります。したがいまして、新全国総合開発計画におきましても、真剣にこの問題を取り上げていることは、あらためて申し上げるまでもございません。私は、現下の深刻な都市問題、すなわち、都市への人口集中による過密化と不合理な土地利用とにより、都市機能の低下と都市環境の悪化を招いている当面の既成都市を、今後総合的にかつ計画的にできるだけ改善してまいりますが、その際に、御指摘になりました過疎対策をもあわせて行なっていく考えでございます。 以上、お答えいたします。(……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山本君にお答えいたします。 お尋ねというよりも、私に対しては、もう一度公務員制度審議会に差し戻して、そうして審議し直せ、こういう御要請であったように伺います。しかし、事柄の性質上、政府の考えるところを率直に申し上げまして、御了解を得たいと思います。 私が申し上げるまでもなく、公務員制度審議会の審議事項というものは、総理府設置法におきまして「労働関係の基本に関する事項」と規定されておりますが、これは労働基本権に関する事項と解しております。定年制は離職の一つの態様にすぎません。労働基本権に関する事項ではないと考えられますので、特に公務員制度審議会に諮問しなかったも……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 石田君にお答えいたします。 いろいろ広範にわたってのお尋ねでありますし、それぞれの大臣からお答えする点も多いのでありますが、基本的なものの考え方について私から説明したいと思います。 まず、石田君は、米価据え置きが不当だ、こういう見解を述べられましたが、私は、そのようには思っておりません。また、心ある農民諸君も、そのやむを得ない事情につきましては、よく御了解いただいているところと私は信じております。(発言する者あり) まず、おとなしく聞いていただきたいのですが、米の生産過剰は、すでに御承知のように、貴重な米を飼料にまで格下げしなければならない状況になっており、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 安井君にお答えいたします。 政治の基本は人間尊重にある以上、何よりも国民生活を守るためにどうすればよいかを考えるべきであることは、あらためて申すまでもありません。公害問題は、とかく公害の原因あるいは責任の所在を明らかにすることが困難な場合が多い点に、問題のむずかしさがあるのでありますが、それだからといって、企業の立場を擁護する立場に立って、原因の究明を明らかにすることをためらうようなことがあっては、断じてなりません。そういう意味では、企業に対し、きびし過ぎるほどきびしくあってしかるべきであると、かように考えます。 問題は、公害対策と経済発展の調和であろうと思い……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 長谷川君にお答えいたします。 学生運動が政治と無関係でないことは、長谷川君の御指摘をまつまでもありません。わが国の場合、多くが安保、沖繩問題をテーマにしていることも事実であります。しかし、青年はいつの時代にも自我の確立を欲し、周囲の社会体制に反発してきました。それにもかかわらず、国際的視野が開け、人生を見る目が開けてくるにつれて、常に新しい時代のにない手として成長してきたのであります。それが歴史であります。わが国の大多数の青年たちがはっきりと時代認識に目ざめたとき、自由を守り、平和に徹し、民主主義体制を守り抜くという決意を固めるであろうことについて、私はいささか……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 西風君にお答えいたします。 まず、医療問題の抜本策について、そのおくれておる理由、今後の見通しなどにつきましてお尋ねがありましたが、これらの問題につきましては、すでに去る五月八日の本会議における健保特例法の趣旨説明の際にお答えをいたしたところでありますので、詳しくは申し上げませんが、国民医療を確保するためには、医療保険制度ばかりでなく、医療制度の関連諸制度につきましても総合的に検討する必要があり、それだけに、問題の所在は根深く、かつ複雑な問題をはらんでおりますので、特例法を延長して、いましばらくの猶予をいただき、この間、各方面の御意見を十分伺いながら、鋭意作業を……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず第一に、私の政治責任感についてのお尋ねがありました。私は、機会あるごとに申しておるのでありますが、私が政治、政局を担当しておりますのは、国民のために、また、国民とともに政治をするというのが私の政治責任であります。この点をはっきり申し上げておきます。 ただいまお尋ねになりました真珠対策行政にいたしましても、これが場当たりにすぎないとの御批判でありましたが、決してそのようなことはありません。最近の真珠の需給の動向に即応して生産規制を強化してまいりましたが、幸いに業界の自粛機運の上昇と相まって、価格も安定のきざしを見せてまいりました。今回の法案も、この機会に、重点……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 和田君にお答えをいたします。しばらく静かにひとつ聞いてください。お聞き取りだけはお願いいたします。 ただいま和田君は、和田君の御意見をまじえながら、また同時に、強い御批判のもとにお尋ねがございましたので、それらの点についてお答えをいたしたいと思います。 私が申し上げるまでもなく、政府原案は、健康保険特例法の延長によって、政管健保等の財政対策を行なおうとしたものでありますが、修正案は、その対策を最小限にとどめようとするものであり、実質的な内容におきましては、異なるものではありません。 なお、国会は国権の最高機関であり、政府提案の法律を、その意思に基づいて自由に……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 楢崎君にお答えいたします。 沖繩からの致死性ガスを含む化学兵器の撤去につきましては、すでに米国防省が公表しているとおりであります。撤去の状況等につきましては、今後の推移を注意深く見守っていきたい、かように思います。 また、日本本土におけるCBR施設につきまして、どう考えるかとのお尋ねがありました。この点は、すでに米国政府が明言しているとおり、政府は、これらの生物・化学兵器が現在持ち込まれていないし、将来持ち込まれることもないと確信しておりますので、特に問題はないと考えております。しかし、いろいろ御注意もありましたように、わが国民の安全確保のために、いままでも注……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 川崎君にお答えいたします。 政府が本国会に提出いたしました大学の運営に関する臨時措置法案は、紛争によってそこなわれている大学本来の機能を回復し、教育と研究が正常に行なわれるよう、大学の自主的解決を助けるものであります。 御承知のように、知識が現代社会の中心的資源となり、一国の経済力の決定的要因としての性格を強めている時代であります。紛争によって大学本来の機能が停滞している現状をただ黙認することが、責任ある政党として、はたして許されるでありましょうか。私は、この問題を、党派を越えて、真に国民的最重要な課題として取り扱っていただきたいと念願していたのでありますが、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第六十二回国会が開かれるにあたり、所信の一端を申し述べたいと思います。 私は、このたび米国を訪問し、ニクソン米大統領と親しく会談いたしました。その結果、沖繩は、一九七二年中に返還されることとなり、(拍手)長きにわたる日本国民の一致した願望が達成されました。(拍手)ここに訪米の成果を報告することができることは、まことに喜びにたえません。(拍手) およそ戦争によって失った領土を平和裏に回復するということは、世界の歴史上たぐいまれな事柄であります。(拍手)奄美、小笠原に引き続き、今回話し合いによって沖繩返還の実現を見ることとなったのは、日米両国間の信頼と友好関係に基……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 政界の長老川島君がみずから代表質問の第一陣に立たれるその姿こそ、今次国会に臨むわが自民党の気魄と意欲を示すものであり、満腔の敬意を表したいと思います。(拍手) そこで、御質問に順次お答えいたします。 責任政党たる自民党が、安保条約を相当長期にわたって堅持する方針をきめたことは、まさしく国益に合致するものであり、現在の国際情勢を十分認識した上での適切な措置であると思います。 今回の私とニクソン大統領との会談の基調となったものは、国際間の緊張を緩和しなければならないという共通の観点であります。この点で、世界最大の国力を持つ米国と自由世界第二……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 新しい年を迎え、第六十三回国会が開かれるにあたって、所信を申し述べます。 私は、まず、さきの総選挙において示された国民各位の力強い支持と信頼にこたえるべく、心を新たにして、国政に取り組む決意であります。一九六〇年代は、長年にわたる国民の念願であった沖繩の核抜き、本土並み復帰が決定し、「戦後」に終止符を打つと同時に、わが国経済力の著しい充実を背景にして、国際社会での地位の向上をはかることのできた時期でありました。これは、ひとえに国民各位のたゆみなき勤勉と努力のたまものであり、衷心より敬意を表するものであります。(拍手) 一九七〇年代は、この成果の上に立って、さら……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 成田委員長にお答えいたします。 施政方針演説で申し述べましたとおり、一九七〇年代は、わが国といたしましても、さらに大いなる前進と飛躍が期待できる時代であると同時に、試練の時代でもあると考えます。国民のエネルギーを結集して、一そう国力の充実をはからなければなりませんが、中でも政治の責任はきわめて重大であります。国会における実りある論議を通じて、国運の進展に寄与したいと念願しております。具体的な問題に入る前に、まず、この点につきましての御協力を特にお願いいたしたいと思います。 さて、平和を確保し、国民生活の向上をはかるという基本的な命題につきましては、成田委員長も……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 角屋君にお答えをいたします。 まず最初に、新聞の読み方からお尋ねでございますが、私は、新聞を見るときは、まず第一面から順を追って見ます。この点をはっきり申し上げておきます。しかしながら、私は、ただいまの政治問題についての第一面にも注意いたしますが、三面記事といわれる、いわゆる国民の日常生活をいかに各新聞が受けとめておるか、こういう点についても十分注意しておるつもりであります。私は、政治の責任者といたしまして、国民生活全般について注意深く見ているつもりであります。 時代のテンポが早く、政治の対応策が必ずしも十分でない面が多々あることは十分承知しております。このお……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 松沢君にお答えいたします。 米の生産調整の問題でありますが、農民諸君もこの措置が日本農業の自衛の方策であることをよく理解して、この方針に協力されることを私は心から期待するものであります。 ただいまも農民大会におけるその一場面を御紹介になりましたが、私どもは、ただいま申し上げるような期待を持って、ただいま施策を進めておる次第であります。政府、地方団体、農業団体、農民諸君の一致した協力があれば、多少の困難も必ず乗り切れるものと、かように確信しております。 次に、農地法の改正は、農地の流動化を促進して、農業に専念しようとする農家の経営規模を拡大し、今後総合農政を展……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 阿部君にお答えいたします。 まず、租税特別措置を全廃せよとの御提言でございましたが、そう一挙に極端な措置をとるわけにはまいりません。課税の公平の原則と特別措置のねらいとしている政策目標との調和をはかりつつ、実情に即した改善を行なっていくべきであり、今回の改正におきましても、適切な、ただいま申し上げるような態度で、改善をはかったものでございます。 利子・配当の課税についても、ただいま申し上げたような趣旨におきまして、所要の改正を行なったものであります。 今後におきましても、総合課税の原則に帰することを基本的方向としながら、国民の貯蓄の動向や、税制に対する国民の……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山本君にお答えをいたします。 まず、国庫優先を改めて、地方公共団体の財政を重要視せよとの御意見でありましたが、従来から地方公共団体の財政を軽視しているようなことは決してございません。住民の日常生活に密着した地方行政を充実することは、内政充実のためきわめて必要であり、四十五年度の地方財政計画におきましても、地方財政の充実について十分配慮しているところであります。御了承をお願いいたします。 次に、地方行政のあり方についてでありますが、要は地方公共団体が地域住民のための行政をやりやすいようにする必要があるとの山本君の御意見には、全く同感であります。中央と地方行政との……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 大出君にお答えをいたします。 ニクソン米大統領は、アジア政策の指針として、米国が条約上の公約のすべてを守ることを明確にしていることは御承知のとおりであります。と同時に、核保有国が米国と集団安全保障条約を締結している国の自由を脅かす場合には、米国は防御手段を提供することも明らかにしており、その他の型の侵略の場合には、米国は条約上の公約に従って、軍事的、経済的援助を行なうが、その場合、直接脅威を受けている国が、自国の防衛のため、第一義的責任を負うことを期待しているものと考えます。お尋ねの趣旨で申せば、米国政府が、わが国の防衛に関し、わが国に期待するところもまた同様で……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 田中君にお答えいたします。 まず、七〇年代における農政の基本的考え方についてのお尋ねがありましたが、私は、七〇年代初頭における農業の課題は、何をおいても、古くからの米麦中心の日本農業からの脱皮であると、かように考えます。この大きな、また困難な転換期を無事に乗り切って、需要の動向に即応した農業生産体系に移行し、そこに産業としての国際競争にも耐え得る近代的農業の確立をはかり、そうして新しい、住みいい農村社会の建設を推進してまいりたい、かように考えます。これが基本的な考え方であります。 次に、最近再び農業従事者と勤労者との所得格差が拡大しつつあることは、残念ながら御……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 石川君にお答えをいたします。 中小企業省の設置の御提案がありましたが、中小企業政策は、関連産業との統一的視野に立って進められて初めてその成果をあげ得るものでありまして、中小企業行政のみを実施する新たな機構を設けても、かえってその実効は期待し得ないもの、かように考えます。行政簡素化の大方針もあり、新しい省の設置は考えておりません。 なお、現在の通産行政が、中小企業を守る立場よりも大企業の立場に立ちやすいという御批判は、私は当たっていないものと考えます。中小企業行政は、金融、税制等の総合的施策によってその充実がはかられるべきものであり、今後とも関係各省との連携を一……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私は、今回の事件が、紆余曲折を経ながらも、政府及び国民の一致した願望どおり、乗客及び乗務員の安全をそこなうことなく解決されたことを、心から喜んでおきます。(拍手) 特に、社会党はじめ各政党が、超党派で問題解決に協力していただいたことを、この機会に心から感謝申し上げるものであります。(拍手) また、本件の発生によって、近隣諸国に思わざる御迷惑をおかけしたことを深くおわびいたします。特に、問題の「よど号」が金浦空港に到着してからの韓国政府の御努力と御理解とには深く感謝している次第であります。(拍手) さらに、軍事休戦委員会のルートを使用できたことは、米国政府の協……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 先刻、参議院における緊急質問に答えて冒頭に申し上げたことではありますが、まず今回のガス爆発事件により、多数のとうとい人命が失われたことはきわめて遺憾であり、ここに、不幸にしてなくなられた方々の御冥福を心から祈るとともに、遺家族の方々にお悔やみを申し上げる次第であります。また、多くの傷つかれた方々には、すみやかなる御本復を心から祈念するものであります。 さて、人命尊重、人間尊重は私の基本的政治理念であり、そのもとに、社会開発の諸施策は各方面において広く展開されているのであります。今・回御審議いただいております公害二法なり、あるいは過日可決いただいたガス事業法などは……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 土井君にお答えいたします。 まず、地方団体が、国の行なうべき行政を補完的に、あるいは先行的に実施している面が多いとの御指摘でありました。国としても、限られた財源のもとで、これを最も有効適切に配分するよう最善の努力を払っているものでありますが、古くからの数多くの懸案が、一挙に解決されることは不可能なことであります。そこにある程度の行政のおくれとか、ひずみが残ることは、真にやむを得ないことであり、地方団体が、その判断において、その欠陥を最小限にとどめるべく、それぞれの地域の実情に応じた特色ある行政を展開されることは、これこそ地方自治行政の一つのメリットであり、むしろ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 横山君にお答えいたします。 いろいろ御意見をまじえて述べられながらお尋ねがございました。 そこでまず、私が申し上げるまでもなく、白書、これは国民各位にそれぞれの実態と施策の現状について理解と認識を深めていただくためのものでありまして、また白書の分析は、政府の施策に的確に反映させるための反省のかてでもあります。ただいま、対策がない、ただ分析倒れだ、かような御批判がありましたが、これが白書というものだと私は思っております。 ところで、これが十分施策の上に取り入れられておらないという。その白書のねらいが十分に効果を発揮できず、せっかくの分析が分析倒れとなってしまっ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 最近、カンボジア問題をめぐってインドシナ半島の緊張が高まっていることは、まことに遺憾であります。私は、すみやかに事態が収拾され、これ以上戦火が拡大しないよう強く望むものであります。 近くジャカルタで開かれるアジア会議については、愛知外務大臣が出席いたしますので、外相から詳しくお聞き取りいただきたいと思いますが、私といたしましては、この会議において、カンボジアが中立を回復すると同時に、その平和と安全をはかる建設的な方式が見出されることを期待しております。 また、カンボジア問題が沖繩返還に影響を与えるようなことはありませんから、西村君への答弁を通じて国民の皆さんに……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 川俣君にお答えいたします。 まず、用材供給の中に占める輸入材の比率が非常に高まってきたことは、白書の指摘するとおりであります。この傾向は、今後一そう強くなることも予想されます。国土の六八%を占める森林王国日本といわれておりますが、絶対面積の狭隘はいかんともすることができません。この点に、わが国の森林資源では、世界に例を見ない高密度経済下における木材需要の急速な増大を充足することが困難であります。戦中戦後の乱伐の影響を考えると、いまはむしろ外材依存度をふやし、国内資源の生長を待つべきときともいうべきではないかと思います。 もちろん、かように申したからといって、こ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 井野君にお答えいたします。 近年、わが国の貴重な自然が無秩序に破壊され、良好な生活環境とレクリエーションの場が失われつつあることはたいへん残念なことであります。さきに策定をした新全国総合開発計画におきましても、国民的資産である自然及び歴史的環境を長期にわたり保護、保存するための具体的方向を明らかにしたのでありますが、その実現については、今後一そう努力してまいる決意であります。 御提案の、公園敷地内の必要区域の確保につきましても、つとに助成措置を講じていることであり、また、交換方式による用地取得も可能であります。井野君のお尋ねの趣旨に沿って、自然景観が民間施設に……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第六十四国会が開かれ、所信を申し述べるに先だって、本日、この国会に沖繩から衆議院議員五人、参議院議員二人を新たに迎えることができましたことを、国民各位とともに心から喜びたいと思います。(拍手)政府は、去る三月に決定した沖繩復帰対策の基本方針に基づいて、諸般の準備を進めつつありますが、国会並びに各界各層の御協力を得て、復帰対策の万全と豊かな沖繩県づくりのため全力を尽くし、一九七二年祖国復帰という歴史的事業の完遂に遺憾のないようつとめたいと思います。(拍手) 私は、先般、国際連合創設二十五周年記念総会に出席して、自由を守り、平和に徹するわが国の基本理念を広く世界に訴……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 下平君にお答えをいたしますが、およそ民主主義国家におきましては、国の進路をきめるのは国民であることは、御承知のとおりであります。しからば現在、大多数の日本国民は、自分自身の国家目標を軍事国家に置いているかといえば、私は絶対にさようなことはないと、この機会にはっきり申し上げるのであります。(拍手)申すまでもなく、国民の合意は平和国家であると思います。 ただ、今日、世界でも枢要な経済力を持つに至ったわが国に対し、それと見合った軍事力を持つのではないかと心配する向きもあるようでありますが、日本はそういう道は歩まないんだということを、機会あるごとに強調し、理解してもらう……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 春日君にお答えをいたします。 まず最初に、私の自由民主党総裁としての四選について言及され、いろいろ御批判をいただきました。私も国会に議席を持つ者であり、議会政治、民主政治、これが何を意味するか、また、どういうことが守られなければならないか、このことは十分知っておるつもりであります。春日君のお話では、政権の交代が主権者である国民の意志とは別にとり行なわれるような御意見であったように聞きます。その点は、もし違いであるならば、私が誤解ならば私のほうが訂正をいたしますが、わが党は、選挙を通じて国民の支持を得ておる、その点をはっきり申し上げておきます。(拍手)そうして、ま……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 古川君にお答えをいたします。 国民の福祉を最重点として、多様化し深刻化しつつある公害対策に、全力をあげてまいる決意であることは、さきの所信表明において、あるいはその後各党からの代表質問に際して、申し上げたとおりであります。私は、公害問題を、人の健康や環境に問題が起きたときに対処するという、いわば受け身の問題としてではなく、積極的に、りっぱな環境を取り戻す、美しい自然を永遠に子孫に残していく、こういう前向きの姿勢で、真剣に取り組んでまいる決意であります。(拍手) 本日提案いたしました公害関係各法案は、今後の公害行政を進めていく場合において、大きな前進と飛躍を可能……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私は、昭和三十九年秋以来政局を担当し、国運の進展と民生の向上に全力を尽くしてまいりましたが、新しい年を迎え、その任のいよいよ重きを痛感いたしております。ここに第六十五回国会が開かれるにあたり、内外の情勢を展望し、内閣の施策の基本について所信を申し述べたいと存じます。 一九六〇年代においてわが国は、恵まれた国際環境の中にあって、国民の勤勉と努力により、飛躍的な経済発展と完全雇用の実現など歴史的な進歩を遂げることができました。また、国力の充実を背景に、平和外交を積極的に推進した結果、国際的地位も著しく向上いたしました。しかしながら、その間、世界にもまれな高密度社会が……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 成田君にお答えいたします。 政治の国民に対する責任は、第一義的には、国の安全を確保し、文化を興隆し、国民生活の向上をはかることにあると考えます。しこうして、平和外交を積極的に展開することによりまして、わが国の平和を維持し続けてまいりました。さらに、国民の勤勉と努力を根幹とし、機動的かつ弾力的な財政経済政策の運用によって、画期的な経済発展を遂げることができたと信じております。しかしながら、その間、物価や公害問題など、必ずしも政治の責任を全うすることができなかった面も多分にあることは、まことに遺憾に存じております。 ただ、わが国のように、国民のエネルギーが横溢し、……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 佐々木君にお答えいたしまするが、前提としての御意見は、私は謙虚に承ったつもりでございます。 そこで、具体的の事例として、まず年をとられた一市民の切実な要望を代弁されました。 第一の老人医療の無償化については、率直に申しまして、公費負担によるべきか、あるいは医療保険制度の抜本改正の一環としての老齢保険制度の創設で対処すべきか、私自身判断を下しかねております。なお十分検討を加えてまいりたいと考えます。ただし、御披露がありましたように、この問題は当面の切実な問題であって、最終的な結論を得るまでの間、放置することはできませんので、さしあたり四十六年度予算においては、健……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 高橋君にお答えいたします。 昭和四十四年度決算におきまして、会計検査院から百五十三件の不当事項、さらにまた、十七件の制度改善処置の要求事項の指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。 租税等の徴収不足について指摘のあった事案については、すでに徴収決定等を完了し、収納に鋭意努力しているところであります。今後とも、納税者等に対する法令の周知と指導の徹底を期し、内部において職員の専門知識の向上につとめるとともに、内部監督の充実等により、適正な徴収をはかってまいります。 また、補助事業における工事の設計施工の不良等については、すでに手直し工事を施工させ、または……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 大出君から、防衛白書を中心にして、わが国防衛のあり方について種々お尋ねがありましたので、基本的な問題の諸点についてお答えをいたします。 まず、われわれ日本国民は、過去の苦い経験から、自由を守り、平和に徹することの重要さを、世界のいずれの国民よりも痛感しているのであります。そのため、政府の防衛政策も、国力、国情に応じ、他国に脅威を与えないというのが基本であることは御承知のとおりであります。今後とも、この基本方針に変わりのないことを明確にしたいと思います。 私としては、第二次大戦を正当化しようとするような考えは毛頭ございません。このことも、はっきり申し上げておきま……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 佐藤君にお答えいたします。 まず、今回の所得税の減税は、実質減税になっていないとの御意見でありましたが、今回の改正の結果、課税最低限は、一〇%程度引き上げられることになり、消費者物価の上昇を見込んでも、なお相当の実質的負担の軽減になっているものでございます。 給与所得者の定額控除については、その引き上げが、低額な給与所得者から強く望まれており、前回の所得税法の改正に際しましても、特に議論のあったことは私も承知しております。今回の改正案におきましても、基礎控除や扶養控除引き上げに対して、定額控除の引き上げに重点を置いたことは、佐藤君も十分お認めいただけることと思……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山口君にお答えいたします。 お尋ねの順序ではございませんが、私のメモでお聞き取りをいただきたいと思います。 国民生活に密着する事業は地方自治体の仕事であり、そのため地方財政の規模が大きく拡大することは当然であるという御意見には、私も異論はありません。地方財政計画が十四年ぶりに国の一般会計の規模を上回ることとなったのも、その一つのあらわれであります。 しかしながら、山口君は、事業執行面における地方のウエートに対し、財源面でのウエートはその約半分にすぎないとして、これが非常に不均衡であるかの御意見でありましたが、これには若干異論を持つものであります。 現在、国……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 藤田君にお答えをいたします。 自動車新税が高負担政策のあらわれと見ることは、妥当ではありません。国民所得に対する租税負担率におきましても、四十六年度は四十五年度のほぼ横ばいで推移するものと見込まれておりますし、先進諸国の負担率と比べても決して高負担というべき状態ではない、まずこのことをよく御認識いただきたいと思います。 私は、新経済社会発展計画でも指摘しているように、社会資本の充実、社会保障の拡充等、政府の施策に期待される分野が次第に拡大されていくにつれ、国民の税負担はある程度上昇せざるを得ないものと考えますが、その中心的にない手を自動車新税がつとめるものでな……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 川俣君にお答えをいたします。 児童手当の創設を提案してから、かなりの時日がたっていることは、川俣君御指摘のとおりであります。児童手当制度は、わが国の社会保障の体系の中で欠けていた制度であり、それだけに、制度の内容及び他の制度との調和が大きな問題でありました。また巨額の原資を必要とするだけに、産業界や地方公共団体の十分の理解と協力とが必要不可欠であったのであります。昨年秋に至りましてようやく関係審議会の答申を得ましたので、このたび児童手当を発足させることとしたのであります。 児童手当のように画期的な新しい制度が生み出されるまでには、以上のような、あらゆる面で機が……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 武部君にお答えをいたします。 御承知のように、データ通信技術は電気通信と電子計算機についての高度の技術が結合したものでありますが、電電公社はこれらについて多年にわたり技術、要員、経験などを蓄積しておりますのみならず、全国をカバーする保守体制を持っておりますので、その能力を十分に活用することが国益と国民の要望にも沿うものであり、また、国産技術の振興にも役立つものと考えます。このような意味において、電電公社が公共的なデータ通信サービス、全国的規模にわたるデータ通信サービス、あるいは情報産業の発展に寄与する通信サービスを中心として公衆回線の利用を認めることは、情報化社……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 後藤君にお答えいたします。 まず、雇用の不安定状態の責任について追及されましたが、私は、全体として見て、雇用の機会は拡大し、雇用失業情勢はかなりの改善を見ているものと考えます。現に、失業率は一%前後の低い水準を維持しており、日雇いあるいは臨時といった雇用形態で就業している人も、全体の就業者の中に占める比率は低下してきております。また、この傾向は、長期的に見て今後も続くものと考えます。 このように、私は、一般的には雇用問題は改善されつつあると思いますが、その中で、一部になお不安定な雇用が残っていることも否定いたしません。雇用形態の改善や労働条件の向上には、今後と……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 田中君にお答えいたします。 農業基本法が制定されてから、ちょうど十年たちますが、この間、基本法が日本農業に寄与した功績は、私は高く評価しております。特にその主要なねらいであった他産業との生産性及び所得格差の是正という面において、顕著な改善を見、農村の生活水準は飛躍的な向上を見たのであります。 しかしながら、率直に言って、基本法の目ざした需要構造の変化に見合った農業生産、いわゆる農業の選択的拡大の面におきましては、残念ながら十分な成果はおさめ得なかった、かように思います。 有史以来の日本農業の大きな転換であるだけに、容易に完全な成果をあげ得るものでもありません……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 渡邊君にお答えいたします。 私は、かねてから……(「田邊、田邊」と呼び、その他発言する者あり)失礼いたしました。失礼いたしました。田邊君です。田邊君にお答えいたします。 私は、かねてからの主張である人間尊重の政治の実現のためには、経済成長の成果を、成長に取り残されやすい階層分野の方々にまで行き渡らすことが何よりも必要であり、まさに社会保障の任務だと、かように考えております。 ただ、わが国の近代国家としての立ちおくれから、これと並行して社会資本の充実にも大きな力をさかなければならないところに問題のむずかしさがあります。次のゼネレーションに引き継がれる遺産ともな……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 千葉君にお答えいたします。 米価据え置きの方針は、先般の施政方針演説において触れただけではなく、昨年の施政方針演説におきましても同様の方針を明らかにしたところであります。 私は、米の供給が需要を大幅に上回り、他の成長農産物への転換が農政の最大の課題である今日、もしここで、米価対策に再び返るような政策がとられるといたしましたならば、結局は、農業の構造改革を逆行させ、農業を再び混乱におとしいれるものと考えます。施政方針演説は、予算編成に際してこのような農業政策についての政府の基本的な半与え方を明らかにしたものでありまして、その所信は、いまもなお変わっておりません。……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。 まず、情報基本法を策定せよとの御提案でありましたが、私も情報処理問題の重要性にかんがみ、いずれ基本法を制定せねばならぬものと考えております。ただ、情報処理はわが国におきましては全く新しい分野であり、かつきわめて広範な問題を含んでいる問題でありますので、なお十分検討を要すべき段階にあるものと考えます。各方面の意見をも十分伺った上で、この問題に本格的に取り組む所存であります。 なお、米田君は、情報機能が一部の者に壟断されつつあるとの御発言でありましたが、私はさようには思いません。私は、言論の自由、これがわが国ほど自由濶達である国は世界でも例を……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。 最近の水産物の需給の動向から見ると、増大する需要に対し、供給が十分対応するに至っていない状況であります。政府としては、今後とも新漁場の開発等による水産資源の維持増大、漁港等の生産基盤の整備、沿岸漁業構造改善事業の推進等による沿岸中小漁業の近代化等についての諸施策を総合的に推進してまいります。具体的対策はそれぞれ農林大臣からお答えいたします。 次に、漁業の環境保全を確保するため、他産業と水産業との調整を進める必要があるとの御意見は、私も同感であります。先般整備を進めました公害関係法の適切な運用をはかるとともに、今国会に提出している海洋水産資……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。 石川君からは中小企業省を設置せよとの御意見でありましたが、中小企業行政は、本来、産業行政と一体となって運用されることが望ましく、かつ必要であります。この意味において、製造業や流通業など産業の大部分を所掌する通産省が中小企業行政をも取り扱うことが適当だと考えております。この点では、社会党から毎年中小企業省を設置しろといわれますが、政府は同じように毎年ただいまのような答弁を繰り返しております。この点を御了承いただきたいと思います。 そこで、せめて次官会議に企業庁の長官でも出せ、かような御提案でございました。私は、現在の次官会議の構成で十分事足……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第六十六回国会が開かれるにあたり、所信の一端を申し述べます。 この秋、天皇、皇后両陛下には、ベルギー国、英国、ドイツ連邦共和国三国の公式御訪問を中心として、ヨーロッパを御旅行になります。両陛下おそろいでの外国御訪問は、有史以来初めてのことであります。友好各国との親善関係の上に、まことに意義深いことと存じ、喜びにたえません。(拍手)両陛下には、御平安に御旅行の上、御無事で御帰国あそばされますよう、国民各位とともに心からお祈り申し上げます。(拍手) 本年は、去る四月の統一地方選挙に引き続いて、このほど参議院議員通常選挙が行なわれました。政府は、この二つの選挙を通じ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) いろいろ御意見を述べられて、佐藤内閣を御批判いただきましたが、私に対してはむしろそれが御鞭撻のことばであるように聞きとれたのであります。厚くお礼を申し上げます。 まず、内政問題からお答えをいたします。 医療保険制度の抜本改正問題につきましては、政府がかねてから努力を重ねてまいったところであります。しかしながら、北山君も御承知のとおり、この問題は利害関係が錯綜しており、まことに複雑で、関係者の御協力のない限り、その解決は容易ではありません。政府といたしましては、関係者のそれぞれが、自己の主張に固執することなく、医療を受ける国民の立場に立って、譲るべきはこれを譲り……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 第六十七回国会が開かれるにあたり、所信を申し述べます。 天皇、皇后両陛下には、去る九月二十七日、ヨーロッパ御訪問の途につかれ、十月十四日、お元気で御帰国になりました。まことに慶賀にたえないところであります。(拍手)その間、アンカレッジでニクソン米国大統領のお出迎えを受けられ、ヨーロッパにおいてはベルギー、英国、ドイツ連邦共和国を公式に、デンマーク、フランス、オランダ、スイスを非公式に訪問されました。両陛下の外国御訪問は、わが国にとって有史以来初めてのことでありましたが、各国の王室、政府、国民によって心あたたまる歓迎を受けられ、わが国とこれら諸国との友好親善のため……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 赤松君からたいへんたくさんの、また多岐にわたってのこまかな御質問をいただきました。できるだけ忠実に、順を追ってお答えするつもりでございますが、あるいは落ちるものがあったら、他の機会に譲らしていただきたいと思います。 現在、国際間の緊張緩和につきましていろいろな努力がなされておりますが、特にニクソン米大統領の北京訪問あるいは中華人民共和国政府の国連加盟が実現すれば、アジアにおける緊張は大いに緩和されるものと思います。政府としては、このような傾向は、平和の達成という成果となって実ることを強く希望するものであります。 申すまでもなく、国際間の緊張は、政治、軍事、経済……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 今澄君から、まず、転換期に立っての基本的認識はどうかとのお尋ねがありました。 私は、このたびの所信表明演説において申し述べたとおり、現在の国際間の諸問題は、もはや戦後体制のワクの中では処理し切れなくなっていることを痛感しているものであります。中国問題にしろ、IMF体制にしろ、それなりの歴史的背景を持って今日まで推移してきたのでありますが、それがいまあらためて見直されていること自体、大きな意味を持っていると思うのであります。しかしながら、このような時期であるだけに、国際情勢についての一段と冷静な現状認識を踏まえつつ、わが国益が那辺にあるかを見きわめることが必要であ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。 戦後体制が行き詰まっているとの認識については、所信表明演説で述べたとおりでありますが、これがどうしてそうなったかということにつきましては、いろいろの見解があると思います。 私は、第一に、現在の国際秩序は、主として、さきの大戦後、戦勝国側だけの話し合いによったものだけに、戦後二十余年たって、いろいろな点で無理が生じてきたと思います。 中国に二つの政権が存在することは、戦争の結果他から押しつけられたものではありませんが、ドイツやベトナム、朝鮮半島における二つの政権の存在は、戦後体制を象徴するものと言えます。 経済問題につきましても、基軸通……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 石橋君にお答えいたします。 サンフランシスコ平和条約第三条の規定が法律的に無効であるという社会党の年来の主張は、十分に承知しておりますが、政府としては、すでに繰り返しお答えしているとおり、この御意見には同意できません。(拍手) 戦争の結果としてわが国の施政の手を離れ、二十有余年の間異民族の統治のもとにあった百万県民の住む沖繩、これがいよいよ本土に返ってこようとしているのであります。私は、いまこの時点で、沖繩が戦争で失った領土であるかどうかということを論ずることよりも、沖繩県民が置かれてきたこの歴史的事実をしっかりと認識することのほうが、より大切だと考えるもので……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず、このたびの不測の事故によって、多数のとうとい人命を失ったことは、返す返すもまことに遺憾であります。なくなられた方々に対し、深甚なる弔意をささげると同時に、御遺族の皆さまに、国政の最高責任者として、心からおわび申し上げる次第であります。 また、けがをされた方々に対し、この機会に心からお見舞いを申し上げます。 わが国の国土の特質を解明し、国民を災害から守るための実験において、安全対策が十分でなかったばかりに、当事者ばかりでなく報道関係者にも犠牲者が出たことは、まことに申しわけのないことで、政府としては深くその責任を痛感しております。今後再びこのような事故を起……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 一言申し述べます。 非核三原則を遵守することは、私がすでに繰り返し申し述べているところでありますが、本日、本会議における決議の採択にあたり、政府として非核三原則を遵守する旨、あらためて厳粛に声明するものであります。(拍手) 今般の決議の趣旨にかんがみ、返還時に沖繩の核抜きがさらに明らかになるよう、適切な措置を考究したいと存じます。 また、核の持ち込みに関しましては、本土、沖繩を問わずこれを拒否することは、政府が従来より明らかにしている政策でありまして、この機会に、さらにあらためてこれを確認するものであります。(拍手) 沖繩における米軍基地の整理縮小につきま……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 内藤君にお答えをいたします。 私がリーダーシップをとって、事故の未然防止、災害救助等の対策をとるべきだとの御意見でありました。 現在の制度のもとにおきましても、大型タンカーの事故防止及び災害救助につきましては、他の交通事故、災害とともに、その対策の基本計画は、総理大臣の主宰する中央交通安全対策会議及び中央防災会議によって決定されており、総理大臣が総合的見地から対処することとなっております。私は、今後ともこの制度をより一そう活用し、事故防止、災害救助に遺漏なきを期してまいる決意でございます。何とぞよろしく御声援のほどお願いをいたします。(拍手)
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 堀君にお答えをいたします。 堀君からは、御意見を交じえて、多岐わたってお尋ねがありましたが、私は、そのうち、基本的な問題についてお答えをいたしたいと思います。不十分な点につきましては、所管大臣からお答えすることといたしたいと思いますので、前もって御了承をお願いいたします。 まず、今回の円の為替レートの引き上げは、主要国が公平かつ妥当な為替レートの設定に協力し合うならば、わが国としても応分の協力を惜しまないとのかねての方針によりまして行なったものであります。 切り上げ幅についていろいろと議論のあることは承知しておりますが、私は、先ほど大蔵大臣から御報告のあった……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 新しい年を迎え、第六十八回国会が開かれるにあたり、所信を申し述べたいと存じます。 まず、戦後二十有余年の長きにわたって、米国の施政権下に置かれてきた琉球諸島及び大東諸島は、本年五月十五日、わが国に復帰することになりました。(拍手)ここにつつしんで御報告申し上げ、国民各位とともにこれを喜びたいと思います。(拍手) 沖繩の本土復帰は、長期にわたる民族的宿願の達成を意味するものであり、わが国の歴史上きわめて大きな意義を有するばかりでなく、戦後の国際関係の推移にとっても、一つの時期を画する重大なできごとであると考えます。これをなし得たのは、沖繩県民をはじめ一億国民の英……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 成田委員長にお答えをいたします。 サンクレメンテにおける私とニクソン米人統領との会談につきましては、日米共同発表並びに記者会見におきましてすでに明らかにしたとおりであります。当然、中国問題につきましても率直な意見の交換を行ないました。米国が従来の態度を捨てて、ニクソン大統領みずからが北京を訪問することをきめたいきさつにつきましても、面接その間の事情を聞きました。現在わが国も米国もともに中華民国政府と外交関係を持っているわけでありますが、アジアの緊張緩和をはかるためには、中華人民共和国政府との関係を改善していくべきであるという点について意見の一致を見ました。 し……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず、春日君の政局に対する御意見は、しかと承っておきます。たいへん言いにくい事柄もずばりとおっしゃって、その点では私も敬意を表しますが、私の進退問題は私におまかせ願いたいと思います。同時に、春日君の御意見並びに御叱正に対しましては、この機会にありがたくお礼を申し上げておきます。ありがとうございました。 次に、政策についてのお尋ねにお答えをいたします。 経済政策についての御質問にお答えをするのでありますが、最近における内外経済情勢及び国民意識の変化に伴い、現在、わが国として、従来の経済成長パターンを修正し、国民福祉充実に一そう重点的な資源配分を行なうよう政策の転……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 野田君にお答えいたします。 御承知のとおり、今回の米中共同声明の中で、米国側は台湾からすべての米国軍事力と軍事施設を撤退させるという最終目標を確認し、当面、この地域の緊張が緩和するに従って台湾の米国軍事力と軍事施設を逐次減少させることを明らかにしております。しかし、現在の台湾につきましては、双方の見解が併記されていることも事実であります。サンクレメンテにおける私とニクソン大統領との会談におきまして、同大統領は、台湾に対するコミットメントは順守するとの意向を表明しております。いずれにいたしましても、米中間におけるこの問題は、ニクソン大統領がいみじくも申しております……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 藤田君から、いろいろ各方面にわたってのお尋ねでございます。私からは、今回の税制改正の基本的考え方、これについてお答えをいたしまして、その他の点は大蔵大臣あるいは企画庁長官に譲らしていただきたいと思います。 今回の税制改正におきましては、昨年秋の所得税の年内減税に引き続き、個人住民税の軽減により一般的な個人課税の負担軽減を行なって、国民生活の充実をはかることとしているほか、老人扶養控除の創設や寡婦控除の適用範囲の拡大など、国民福祉向上のための種々の措置を講ずることとしております。 他方、企業課税につきましては、法人税の付加税率の適用期限の延長、輸出振興税制の大幅……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 山本君にお答えをいたします。 まず、四十七年度の地方財政計画は長期展望を欠いた借金政策に終始している、かようなおしかりでございました。地方財政の運営につきましては、長期的な展開から、それぞれ地域の実情に応じて、生活関連社会資本の整備や社会福祉の充実など、住民福祉の向上を計画的に進めていくことが大切であり、政府はそのような観点に立って地方財政計画を策定しております。 なお、昭和四十七年度の地方財政計画につきましては、経済の動向、国及び地方の財政事情、地方財政における後年度の財政負担等を十分考慮して所要の措置を講じたものであり、地方財政の運営に支障を生ずることはな……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 森下君にお答えをいたします。 決算は、国会の議決により成立した予算の執行実績であり、きわめて重要なものであることは言うまでもありません。決算の性格は過去の事実についての計数的な記録であり、これを予算と同様の案件と考えるのはいかがかと思います。しかしながら、決算の重要性にかんがみ、政府といたしましては、国会における審査結果を重視し、批難、警告があった事項につきましては、その後の予算編成及び執行にあたり、十分留意しているところであります。 また、決算の国会への提出をなるべく早くすることは、予算編成あるいは長期計画の重要なデータとするためばかりでなく、決算の効果的な……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私は、中山君の御質問にお答えする前に、浅間山荘において、人質救出にあたって敢然とその任務を遂行され、ついに職に殉ぜられた二人の警察官の御冥福を、心からお祈りいたしたいと思います。(拍手) 中山君御指摘の、被害者に対する事後の処置につきましては、殉職された二警官並びに一市民、この残された御家族の今後のお暮らしが少しでも明るく、将来への希望が持てるように、物心両面のお助けをいたしていくこととしております。また、過激派集団の不法行為によって傷ついた方々に対しても、長期にわたる予後措置を含め万全を期する所存であります。(拍手) 次に、民主主義についてのお尋ねがありまし……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 岡田君にお答えをいたします。 まず、戦後の地域開発関係法は、いずれも地方の工業開発の推進、地域格差の是正、過密過疎問題の解消など、それぞれの時代と地域の要請に応じて制定されてきたものであり、それなりに今日の繁栄を確保するのに役立っており、また、その役割りを果たしてきたものと考えております。このような点につきましては、岡田君にも正当に評価していただきたいと思います。 しかしながら、過密過疎の問題は依然として深刻であり、また、新たに環境問題等が生じていることも事実であります。政府といたしましては、今後とも地域開発制度の一そうの整備を進め、従来つちかわれてきた国力を……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 内藤君にお答えをいたします。 国鉄財政が、わが国輸送構造の変化に伴い、昭和三十九年赤字に転じて以来悪化の一途をたどっておることは、内藤君御指摘のとおりであります。この間に政府は、国の財政措置、国鉄の近代化、合理化努力、運賃水準の適正化などを中心とする各種の再建対策を実施してまいりましたが、その後も、自動車輸送等との競合による輸送量の伸び悩み、人件費の予想以上の大幅な上昇等により、遺憾ながら国鉄財政は悪化の度を強め、このまま推移した場合は、四十七年度にはかなりの償却前欠損を生ずるという憂慮すべき事態に立ち至っております。 このような事態に対処するため、政府といた……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 土井君にお答えをいたします。 たいへん多岐にわたり、また、こまかな問題にもお触れになりました。(「重要だよ」と呼ぶ者あり)私は、重要であることには異存はございませんが、私からお答えするのは基本的にとどめますから、不足の点は他の関係大臣から追加いたしますので、事前にお許しを得たいと思います。 まず、土井君から因果関係の推定規定を置くべきだ、こういう御意見がありました。政府といたしましても、この問題につきましては、慎重に検討したところでありますが、このような推定規定が置かれた場合、一方では、これが拡張して解釈されるおそれがあるという問題があり、また、現段階であまり……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 松浦君にお答えいたします。 まず、松浦君も御指摘のように、わが国人口の大部分が東京、大阪、名古屋の三大都市圏に集中しており、国土利用が片寄っているという問題があります。新全国総合開発計画では、このような土地利用の偏在が、都市における過密、地方における過疎、この現象を発生させているとの考えに立ち、大都市地域における人口集中を抑制し、かつ、分散を進め、国土の均衡ある発展と腰かな環境の創造をはかることとしております。 また、松浦君から、大都市への人口、産業の集中の抑制をあわせて行なうことにより、ただいま趣旨説明を行なったこの法律が十分な効果をあげ得るという御指摘があ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 後藤君にお答えをいたします。 後藤君からは、広範な問題にわたって御意見をいろいろ述べられました。具体的に私に対しては三点を御指摘の上、お尋ねでございましたので、三点についてお答えをすることにいたします。 まず第一は、申すまでもなく老人対策が現在及び将来にわたって重要な課題であることは言うまでもありません。政府は、従来からその充実につとめてまいりましたが、本年度におきましては、当面緊急に対応を要する老人医療費、老齢福祉年金等について処置を講じたところであります。 なお、今後の対策につきましては、老人問題が所得、健康、住宅、就労、生きがいなど、広範多岐にわたるこ……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 左藤君にお答えをいたします。 左藤君も御承知のように、中小企業は、これまで、わが国経済発展の中で市民の生活を潤し、また輸出伸長の原動力として、常に欠くことのできない重要な役割りを果たしてまいりました。今日もなお、その役割りの重要性は、決して減ずるものではありません。しかしながら、このことは、中小企業が従来と同じ経営の方式により今後の事態の変化に対処していけることを意味するものではないのであります。国民所得水準の上昇に伴う需要構造の変化は、発展途上国製品の追い上げとも相まって、より多様化、高級化した製品分野への移行を必要とし、また勤労者意識の変化など、福祉社会への……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 松木君にお答えをいたします。 政府は、ベトナムの情勢が悪化したことをきわめて憂慮しております。一日も早く話し合いが再開され、和平がもたらされることを念願するものであります。 わが国としては、米国のベトナム政策の究極の目的、これは南ベトナム国民が民族自決の原則に従って、外部からの干渉を受けることなく、みずからの将来をみずから決定し得るような環境をつくることにあると考えております。政府としては、このような政策の志向するところを支持してきたものでありまして、今後とも同様の方針で臨む所存であります。 次に、米国政府は、米国の南ベトナムに対する軍事的支援並びに軍事行動……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 千葉君にお答えをいたします。 わが国森林、林業は、山村地域社会の中核的な産業として重要な位置を占めるとともに、国土の保全、水源の涵養、その他森林の持つ公益的な役割りを果たしてまいっております。ところが、千葉君も御指摘のように、近年木材需要の増大に対処する外材の進出の中で、木材価格の低迷や林業労働者の減少傾向など、林業経営にとってきびしい情勢を迎える一方、自然環境の保全に対する国民的要請は、一段と強まってきているのであります。 このようなわが国の森林、林業をめぐる諸情勢の変化に対処して、国内森林、林業政策を今後いかに進めるかにつきましては、治山業等の公益的事業の……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 江藤君にお答えをいたします。 今日のわが国農業の生産性及び農家の生活水準は、農業基本法制定暫時に比して著しい向上を示しております。すなわち、労働出産性はこの十年間に二倍近い向上を示し、また、農家の世帯員一人当たりの家計費で見た生活水準は、勤労者世帯のそれに対して九五%の水準に達しております。 しかし、最近のわが国農業をめぐる諸情勢はきわめてきびしいものがありますが、このような中にあって経営規模の拡大等を進めている意欲ある農家が育っていることも事実であり、今後の農政の推進にあたっては、国民の食生活安定のために、このような農家を中核としてその育成と生産の組織化をは……
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 中村君にお答えをいたします。 中村君からも御指摘のように、地方団体の社会資本の整備を強力に推進し、住みよい生活の場と豊かな地域社会を建設していくためには、それぞれの地域の将来像を描き、これに基づいて長期的視点に立って計画的な財政運営を進め、積極的に住民の要請にこたえていかなければならないと考えます。さらに、このような地方財政の計画的な運営に資するためには、地方財政全体についても適切な長期ビジョンを策定し、これに基づいて、地方財政の安定的確保とその充実をはかっていくことが重要であります。したがって、今後は国民経済全体の立場から、資源配分にあたり、公共部門の大幅な拡……
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