このページでは、当サイト・国会議員白書の公開の目的、利用にあたっての留意事項、作成過程等について解説しています。
サイト更新に合わせ、このページの記述を更新しました。(2024/02/11)
国会議員白書は、議員の国会での活動をまとめたウェブサイトです。
戦後新憲法下の全衆院議員、全参院議員の活動履歴を記録しています。
活動履歴としては、各議員の選挙区と選挙結果、公認政党、本会議での発言、委員会や各種会議への出席と発言、所属会派や公的役職への就任状況、提出した議員立法の数、提出した質問主意書の数と主意書、答弁書の内容について収集したデータを公表しています。
国会議員白書は、以下のような特長を有する議員情報サイトです。
(1)活動記録が一覧化されて会議録等の実際の活動を示す文書にリンクされており、実際の活動を確認することができます。
(2)活動状況が数値化されて集約、整理されており、他の議員と比較することができます。
(3)こうした情報、データが議員ごとに時系列で記録されており、各議員の活動や関心の変化を捉え、政治家としての「成長」を追うことができます。
国会議員の活動状況について、われわれが把握することのできる既存の手段はいくつかありますが、それぞれ限界がありました。
(1)マス・メディアによる報道は、どうしても一部重要政治家に集中しがちです。また、政局報道が中心に来るため、議員本来の役割である政策に関する議論や決定に関する情報は不足しています。
(2)議員や政党、政界関係者による情報発信は、自らに都合のよい情報だけになり、断片的になりがちです。時に誇張や嘘が混じりますし、往々にしてそうした情報のほうが拡散されやすいです。
(3)学者や評論家などが政治家の活動や生涯をまとめ、本などを出版することもありますが、だいぶ時間が過ぎた後に提供されるものです。それにこうした資料は、結果的に注目されることとなった一部の有名政治家に限られる傾向があります。
(4)衆参の事務局等の公的機関の働きにより、会議録などの情報がネットで入手しやすくなりました。しかし、それらは議員個別に集約されてはおらず、それぞれ別々に提供されたものであるため、特定の議員の活動について知るためには膨大な時間や労力が必要となります。
(5)ごく稀に議員の活動をまとめる企画がメディア等で行われます。しかし、膨大な労力がかかるため、それらは選挙前などに単発で行われる傾向にあり、継続的な活動とはなりません。したがって、ごく一部の期間について整理して提供するにとどまります。
こうした既存の営み、試みの限界に対して、本サイトは膨大な情報を網羅し、集約して提供することを試みています。
国会議員の活動に関する情報の穴を埋め、みなさんが議員の活動について知る労力、コストを大幅に削減することが当サイトの目的です。
当サイトは、議員個別のページを中心要素としつつ、議員の検索や比較を容易にするためのリストや特集ページで構成されています。
各議員のページは、トップページ、選挙結果のページ、本会議発言のページ、委員会統計と発言の各ページ、質問主意書のページに分かれています。議員のトップページを見れば、議員の活動履歴を一覧でき、他のページにはより詳細な情報が置かれ、発言一覧と質問主意書では外部の資料へのリンクからその内容を確認することができます。
例:2021年10月14日現在の各党党首
岸田文雄(自由民主党)、 枝野幸男(立憲民主党)、 山口那津男(公明党)、 玉木雄一郎(国民民主党)、 志位和夫(日本共産党)、 山本太郎(れいわ新選組)、 福島瑞穂(社会民主党)
各議員は以下のリストから五十音順で探すことができます。
国会議員一覧あるいは各議員ページの左サイドバー(PCなど画面が広い場合に表示)などから辿れる、選挙で時期を区切った五十音順、選挙区順の一覧から議員を探すこともできます。
都道府県別国会議員には各都道府県の選挙区で出馬し当選した議員の一覧があります。同じページから、各都道府県選出の歴代の国会議員のリストを確認することもできます(例:東京都の国会議員)。
また、議会活動は集計して統計で示しています。各期に在籍していた議員については活動を示す統計を一覧で示し、並び替えを行ってランキングを示すことも可能です。
選挙の際には、特集ページとして選挙区別の議員経験者リストを作成して提供しています。
そのほか、少し古いですが都道府県議会議員選挙の一票の格差に関するデータも提供しています。
当サイトをどのように利用するかは、利用者各自が自由に決めてください。リンクや紹介等、積極的に行っていただければと思います。SNSやBBS等での言及は常識の範囲内でご自由に行っていただいて構いません。
作者としては、利用者に国会議員の活動実態を知ってもらうこと、またデータを提供することで議員に「働く」誘因を与えることを主に意図しています。また、投票した議員のその後の活動状況をチェックしレビューしたり、訴えたいことがあった場合に適した議員を見つけたりするのにも有効でしょう。もちろん、気に食わない議員を糾弾するために情報を検索するような場合にも役立つでしょう。ご自由にお使いいただければと思います。
ただし、商業利用や研究論文等で引用する、データを用いる際には、必ず作者名(菅原琢、Sugawara Taku)とトップページのURL(https://kokkai.sugawarataku.net)を記述してください。論文や書籍での引用の際は他の文献と同様の扱いとし、参考文献リスト等がある場合にはそこに配置してください。これは当サイトのデータ、情報の利用許諾条件とします。
新聞、雑誌などでデータの掲載を希望する場合はご相談ください。企画内容にもよりますが、ご所望の形式のデータをお渡しすることもできます。
当サイトのデータを再配布することは一切禁止いたします。
本サイトには利用の際に注意すべき点がいくつかあります。作者は必ずしもこれらを本サイトの欠点や短所だとは思っていないのですが、この手の企画に頻出する批判であり、利用の際に留意すべき点にもなりますので、ここでいくつか紹介しておきます。
(1)国会の活動状況は、当議員の状況に依存します。健康状態が悪く入院していれば、当然委員会等に出席できません。国会での活動が低調になる一部の政党幹部や答弁に立たない政府役職就任者は、やはり国会での活動が少なくなります。
(2)日本の国会の慣行上、委員会での質問の機会は野党、特に小政党の議員に多く与えられます。一方で、政府側からの答弁は役所に就いた少数の与党議員に集中します。また、与党議員は質問主意書を提出しない慣行もあるためため、公的役職に就任していない与党議員の活動は委員会出席以外の項目で目立ちにくい傾向にあります。
(3)本サイトで公開されている情報は、公開されている国会の議事録のほぼすべてから得ています。しかし、法案審議の段取りや会議の議事運営は理事同士の懇談や、会派、政党の幹部同士の意見交換など、公的に記録されにくい場面で決定されることも多いです。それらは当サイトのデータには反映されません。
(4)このサイトでは、議員の経歴、ウェブサイト、SNSのアカウントなどの一般情報は基本的に扱いません。ネットで名前を検索すれば簡単に確認できるような情報に対して労力をかける意思を作者は持ちません。血液型のような情報を欲する方が日本に多いのは知っていますが、かつて血液型の間違いをひとつの決定的要因として命を落とした政治家もいました。そのような責任を負うことはいたしません。各議員ページ下部に関連情報へのリンク(google、国立国会図書館サーチ、Amazon)を用意していますので、より一般的な調べものにはこちらをご利用ください。
(5)残念ながら、データはさまざまな理由により不完全です。主要な原因は、会議録等の記録やそのデジタル化の過程に瑕疵があるためで、たとえば会議の出席者リストに掲載されていない議員が発言しているような例は多数あります。議員名の表記が間違っていたりいい加減だったりで、発言していたのに漏れていることがあるかもしれません。さまざまな方法でエラーチェックをし、前後の議事録から情報を補完したりしていますが、当時の記録が他にないため、情報は完全とはなりえません。
なお、よくある非難の例として、「議員の活動は量ではなく質で判断するべきだ」というものがありますが、当サイトは情報を提供するものであり、議員の判断基準を押し付けるものではありません。また、「議員の質」なるものは往々にしてそれぞれの人の価値判断に依存するもので、一般的な形で「質」を提示することは不可能でしょう。しかし、それぞれの人にとっての「議員の質」を判断するために有益な材料を、当サイトは提供していると考えています。
当サイトには、次のようなデータの追加を望む声もいただきますが、付記する理由により現時点では対応していしません。
法案をはじめとする議案への賛否など各議員の投票行動をなぜ含めないのかというご意見もいただきます。衆議院に関しては次の「出席率」で述べることとも関係してきますが、そもそもほとんどの議決で議員別の投票行動の記録がありません。記名投票となる場合にのみ記録が公開されますが、法案等で実施されることはごく稀です。首相指名選挙は記名投票で実施されますが、基本的に会派方針に従った投票となり、会派に属さない議員の投票、稀な造反投票、突飛な投票なども含め広く報道されます。対象数が少なく確認は容易なため、現在のところ当サイトでは衆院記名投票結果を収集する予定はありません。
一方、参議院では押しボタン式投票が活用されており、公開もされているため、広範にデータ収集が可能です。もっとも、こちらは逆に数が多すぎるうえに会派に従う投票であることは変わらず、議員ごとのページで議案への賛否を単純に示してもあまり有用でないと判断されます。特定法案に対する議員ごとの賛否は公式サイトで確認すれば十分です。今後の活用を考えデータ収集のシステム自体は組んでいますので、そのうち当サイトにも登場するかもしれませんが。なお、コロナ禍では密を避けるためとして押しボタン式投票が行われなくなりました。
当サイトには「国会議員 出席率」で検索して訪れる方が多く、そうしたデータへの「需要」は根強いようです。これについては、出席率に関する解説や考え方をお伝えするページ「国会議員の出席率について」を設けていますのでそちらを参照してください。出席すべき会議の数が議員ごとに異なるという国会活動の性質上、「出席率」より委員会等の「出席数」を見たほうが参考になるでしょう。たくさん出席すればよいというわけではりませんが。
なお、かつてこの欄に「議員立法提出数」について掲載しない理由(主に労力の面)について述べ、「データの入手難易度が下がれば、当サイトの収集対象とする可能性はあります」としていました。おかげさまで、2024年1月より各議員の議員立法提出状況の提供を開始いたしました。
国会議員の活動については、国会会議録検索システム、日本法令索引、衆議院、参議院の各ウェブサイトで公開されている文書を作者が収集し、加工、編集して作成しています。しかし、この裏にはさまざまな関連資料があります。
たとえば本サイトで公開している新憲法下全議員の一覧は、一般的なウェブサイトでは公開されていない情報です。誰が議員であるかは、さまざまな選挙結果データから当選者のリストを集め、重複を除外するなどして特定しています。
また、議員は国会では別名で活動していたりします。特に参議院の場合、かつてはいわゆる芸名での活動が認められておらず、記録上は本名で登場しており、さらに規則変更である時点から芸名化されているため、一般の人が議員活動を議員名で特定していくことは難しいところがあります。国立国会図書館の国会会議録検索システムは、そのあたりも考慮した大変良いシステムですが、会議での発言者でしか追えなかったりします。
このような理由により、本サイトに収められ、目で確認できる情報から把握できる以上のさまざまな資料、データに本サイトは依拠しています。以下に具体例、代表例を挙げておきます。
選挙結果を把握し、議員の特定に用いました。ただし、過去の選挙の下位に省略が多く、一部に党派の間違いがあり、諸派の政党名を特定できません。
公明選挙連盟『衆議院議員選挙の実績――第1-30回』(1967年)
『朝日選挙大観』のデータを補完、修正するのに用いています。ほとんど国会議員には関係ないですが、いわゆる「諸派」の政党名を調べる際に有益でした。これでも不明の「諸派」は各都道府県選挙管理委員会が発行する『選挙の記録』(名称は都道府県により異なる)所収の選挙公報などで確認しています。また、近年の選挙のうち選挙公報の公開が終了した場合について選挙広報.comで確認した例もありました。
『asahi.comで見る2000総選挙のすべて』、『asahi.comで見る2003総選挙のすべて』、『asahi.comで見る2005総選挙のすべて』、『asahi.comで見る2009総選挙のすべて』、『朝日新聞で見る2012総選挙のすべて』、『asahi.comで見る1998参院選のすべて』、『asahi.comで見る2004参院選のすべて』、『asahi.comで見る2007参院選のすべて』、『asahi.comで見る2010参院選のすべて』
近年の選挙結果はこれらのデータ、各新聞社のウェブサイト、総務省の選挙関連資料のページの資料により把握しています。特に総務省のページは、補選、繰上当選の結果を把握するのに便利です。しかし、掲載が遅れることが多く、また特に市町村名には間違いが多々あり、都度確認して利用する必要があります。
『JED-M』レヴァイアサン・データバンク
地域別の票数を示したデータのため、本サイトとは直接関係ありませんが、上記の選挙大観のデータと照合し確認する際に用いました。ただしこれも、多少の間違いがあります。
第5期蒲島郁夫ゼミ編『参議院の研究』第1巻、木鐸社、『参議院の研究 1947-2002』レヴァイアサン・データバンク
作者が関わったデータ集です。参議院議員の任期、選挙時党派を調べるのにとても有益な資料です。
『新訂 現代政治家人名事典――中央・地方の政治家4000人』日外アソシエーツ
いずれも議員の履歴や名前の読み方を参照するのに大変便利な資料です。
ここに紹介されている資料は、議員の氏名や選挙時の公認政党などを調べるのに大変有益でした。
当サイトで公開しているデータの収集と整理、ウェブサイトの構築、サーバーの管理等は、すべて作者ひとりで行っています。
上記資料の一部の購入、作業に用いる一部の機器の購入に東京大学の研究費、文部科学省科学技術研究費補助金を用いていますが、サーバーの費用や追加の資料収集のための費用は全て作者が負担しています。これらに充当するため、各ページやページ遷移の際にgoogleによる広告が表示されるようになっています。
また、アマゾンの広告も入れています。たとえば、『平成史【完全版】』をご購入いただければ約94円が当サイト運営資金となります。
金額からわかるとおり大きな収入ではありませんが、幸いなことに、公開以後10年間は衆院選(2012年、2014年、2017年、2021年)や参院選(2013年、2016年、2019年)があったこともあり、年間のサーバー代を超えるだけの収入を得ることができました。御礼申し上げます。
ただし、こうしたイベントに依存しない、安定した運営と継続が当サイトの目標ですので、今後ともご協力いただければ幸いです。
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菅原 琢
政治学者、専門は政治過程論、現代日本の政治と選挙
学歴:東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)
経歴:東京大学先端科学技術研究センター准教授など
著書:『データ分析読解の技術』(2022年)、『日本は「右傾化」したのか』(2020年、共著)、『平成史【完全版】』(2019年、共著)、『世論の曲解――なぜ自民党は大敗したのか』(2009年)など
業績:国立国会図書館サーチ、google scholar
活動:大学での教育、分析記事の執筆、世論調査等の実施、監修、政治関係データの監修、国会議員データの提供、当サイトの制作など
連絡先:旧ツイッター、メール(sugawara アンダースコア アットマーク hotmail.co.jp)